【目と学業の神様】山梨県身延にあるパワースポット!日朝上人建立の覚林坊

目の神様”日朝様""と覚林坊

日朝上人は1462年に身延山久遠寺の第十一代法主(ほっす)になられた方で、現在では目の神様、そして学問の神様として有名です。その久遠寺の麓、東谷と呼ばれる地域に日朝上人が建立されたお寺こそ「行学院覚林坊」です。550年たった現在でも、その功徳を引き継いで全国からの信者さんや旅人を受け入れる宿坊として門を開いています。

身延山は、法華経(後の日蓮宗)の聖地として非常に栄えていましたが、日蓮聖人の没後、徐々に衰退していました。その後、第七世法主の日叡上人より、徐々に中興の兆しが見え始めた頃、応永29年(1422年)に日朝上人は伊豆の宇佐美(現在の静岡県伊東市宇佐美山田)に誕生しました。彼は幼くして才覚を発揮し、8歳の時に三島本覚寺の日出上人の弟子となります。その後、武州船場、比叡山、奈良、京都を遊学し、日蓮宗はもとより仏教について深く学びました。その努力と才覚が認められ、日朝上人はわずか41歳で久遠寺の第11世の法主に就任。久遠寺を現在の場所に遷すなど、中興途中の身延山のために尽力し、今日の賑わいの礎を作った大上人として後世に名を残しています。

日朝上人の功績はこれだけではありません。学問においても非常に熱心で、寝る間を惜しんで取り組んでいたそうです。しかし、日朝上人が61歳の頃、日頃の無理が祟り失明してしまいました。しかし、失明後も日朝上人の信仰心は衰えず、修行や祈祷を続けた結果、ついには目が見えるようになったのだそうです。日朝上人はこの時の経験を後世に残すべく、67歳のときに「眼病消滅本尊」を書き上げました。この「眼病消滅本尊」は、後世の法華経(現在の日蓮宗)の信者のため残して立てられた願(がん)で、眼病を患った人を守護して平癒させるといったものでした。それ以降、日朝上人といえば「目の神様」であり、熱心な信仰を貫いた「学業の神様」としても多くの人から敬われるようになりました。

日朝上人が建立した覚林坊には、敷地内に日朝上人を祀る日朝堂というお堂があります。ここは、「日朝様」を慕い、目や学業の悩みを持つ多くの参拝者が全国から訪れるいわばパワースポット。毎年6月24日には、日朝上人の遺徳を偲ぶ日朝大上人大祭が日朝堂にて行われています。

多神教や神道の考え方

ヨーロッパなどでは、キリスト教やイスラム教、ユダヤ教といった一神教が一般的です。単一神教や排泄的一神教、絶対的一神教などいくつかの流派に分かれていますが、基本としては「神は唯一の存在」として崇拝している宗教だといえます。

一方で日本の信仰は、主に仏教と神道の2つが共存しています。日本各地に神社仏閣があり、人々の生活や習慣に浸透し、その伝統は今日まで脈々と受け継がれています。仏教と神道の違いは、まず信仰の対象が異なる点が挙げられます。神道は、自然ややおよろずの神様、もしくは日本神話に基づく神様をお祀りしており、神社や神棚といったところに神様をお祀りして祈りを捧げます。

一方、仏教はお釈迦様が開いたとされる宗教です。その歴史は聖徳太子の時代から始まり、今では日本仏教として主に十三の宗派に分かれ、寺院や仏壇に御本尊や先祖のお位牌を納めています。日本仏教には三大宗派と言われる宗派があり、そのひとつである日蓮宗の総本山こそが身延山久遠寺です。日蓮宗は、日蓮聖人が開祖の宗派として、多くの人から信仰されていました。しかし、日蓮聖人に没後、一時は衰退の危機に晒されるも、身延山久遠寺の第11世法主となった日朝上人の尽力で、現在まで受け継がれる日本仏教を代表する宗派のひとつになったのです。

あなたも目や学業のお悩みはありませんか?

日朝上人が建立した行学院覚林坊をはじめ、身延山一帯は今や国内外から観光客が訪れる人気のパワースポットになっています。覚林坊は、元々身延山に訪れる修行僧や参拝客の宿泊施設(宿坊)でした。しかし、覚林坊の第42代大黒(女将)である樋口純子氏の「身延に賑わいを作りたい!」という想いから、さまざまな趣向を凝らして来る人を出迎えています。宿坊はもちろんのこと、ランチやディナーを楽しめるレストランや身延ならではの商品の開発など、寺町を盛り上げるために尽力しています。

なかでも、目の神様である日朝上人にあやかって作られた目薬「日朝水」は、覚林坊でしか手に入らないレア商品。「日朝水」は、すべて日朝上人をお祀りした日朝堂にてお経を挙げてから販売するのだそう。目の疲れや結膜充血、眼病予防、紫外線や他の光線による目の腫れなどに効果があると言われており、わざわざ遠方から買いに来る人も多いのだそうです。

また、覚林坊にある日朝堂では、お堂の中でのヨガ体験などのアクティビティが楽しめます。神聖で荘厳な雰囲気のあるお堂で、身も心もリラックスしながら行うヨガは、非日常体験ができるリトリートにピッタリの人気のアクティビティのひとつです。また、覚林坊では、院内で「おてらんち」という食事が楽しめます。これは「お寺」と「ランチ」から成る造語で、気軽にお寺でもランチを楽しんで欲しいという女将の提案で、精進料理をベースに作られたもの。身延特産のあけぼの大豆を使った自家製納豆や、山梨県産のフルーツコンフィチュールを使ったデザートなど、地産地消の食と文化を存分に堪能することができます。

他にも、身延山オリジナルの寺(じ)ビールや、ヴィーガンやハラール向けの食事が楽しめる農カフェZENCHOなど、昔と現代が絶妙に融合したスポットの点在する身延山。「目の神様」、「学業の神様」と言われる日朝上人の身延山再興の思いは、今もなお覚林坊のみならず寺町全体に継承されていくことでしょう。ぜひ、山梨身延を訪れた際には、行学院覚林坊と日朝堂を訪れ、日朝上人の身延山への想いに触れてみませんか?

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