美しい瀬戸内海へ600人が汗 笹ケ瀬川 流域一体の活動一歩前進

 岡山市西部・笹ケ瀬川で12日行われた、山陽新聞社の吉備の環(わ)アクション「里海 未来へ」の一斉清掃活動。美しい瀬戸内海づくりに向け7会場約600人がごみ回収に汗を流した。

 主会場(北区平田)では230人が約1時間作業した。ペットボトルやレジ袋、発泡スチロール…。市立西小の4年女子は「量も種類も想像以上に多い」と驚き、母親(40)は「現状が少しでも良くなるよう家庭のごみ減量を一層心がけます」。主会場での量は約600キロ。結果発表に参加者は驚きの声を上げた。

 主会場下流の第二藤田地域会場では、約55人が約360キロを拾った。「雨が降れば上流から流れ着くだけに流域一体の取り組みが必要」と地元連合町内会長の遠藤太郎さん(79)=南区。ポイ捨て防止の呼びかけも大事、と付け加えた。

 笹ケ瀬川は、北区日応寺を源流とする約25キロ(支流除く)の2級河川。山から農業地帯、住宅密集地を経て海に注ぐ地理的環境は国内河川の典型例とされる。

 地理学に詳しい元日本福祉大教授の磯部作さん(73)=南区=は「川で取り切った場所が広いほど海ごみ削減にプラス。会場を多く設けた今回の取り組みは効果的で全国に波及してほしい」と期待した。

 瀬戸内海は海ごみだけでなく、海水の貧栄養化などに伴う漁獲量減少や大気中の二酸化炭素を吸収する海洋酸性化の課題も抱える。

 主会場付近の水面で回収に当たったカヌーパークOKAYAMAの本谷光円代表(74)=北区=は「解決の第一歩は川や海に関心を寄せること。今回がそのきっかけになれば」と力を込めた。

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