朝、目覚めたら「起きれない!」――難病と前向きに闘う女の子と家族の思いに迫る

HTB北海道テレビで3月26日、テレメンタリー2023「笑えればいい 突然、体が動かなくなった葉月ちゃん」(午前11:00、北海道ローカル)が放送される。10万人につき0.37人発症するという珍しい病気にかかった少女と家族の生活を追う。ナレーターはHTBの森さやかアナウンサー。テレビ朝日系各局でも随時オンエアされる。

2020年3月3日、当時8歳だった渡邊葉月ちゃんを“ある出来事”が襲った。目が覚めたら、体を起こすことができない。歩けない――。「起きれない!」と母親に助けを求めたが、母親はふざけて冗談を言っているのだと思った。

救急搬送された葉月ちゃんの診断名は「毛様細胞性星細胞腫」。彼女の場合は、脳腫瘍の一種が首の中の脊髄にできてしまい、神経を圧迫。首から下をほとんど動かなせなくなってしまったのだ。次の日には呼吸もできなくなり、人工呼吸器をつけることに。緊急手術が行われたが、腫瘍をすべて取り切ることはできなかった。

元気に飛び回っていた葉月ちゃんの生活は一変。ほぼ寝たきりで、24時間の介護が必要に。人工呼吸器のため、以前のように声を出すこともできなくなった。今の医療では、葉月ちゃんが元通りに回復することはないという。

絶望しても不思議ではない状況だが、葉月ちゃんは前向き。それどころか、悲嘆する両親を励まし、泣いている母・千香子さんに、こんな言葉をかけたこともあった。

「泣きたい時は泣いていいけど、笑っていた方がいいことたくさんあるんだよ」

そんな葉月ちゃんが始めたこと。それはSNSでの発信だった。見た人に元気になってもらいたいと、絵を描いたり、料理をしたり、さまざまなことにチャレンジする様子を届けている。彼女の笑顔は多くの人の心を動かし、フォロワー数は4万人を超えた。しかし、笑顔の裏には葛藤も。声がうまく出せず、思いが伝わらないつらさ。両親にとっては、仕事と介護の両立は大きな悩みでもある。今年11歳になった葉月ちゃんと家族の日々の暮らしを見つめる。

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