トヨタが総合ワン・ツー。51号車フェラーリ499Pはクラッシュで走行できず【WECプロローグ2日目タイム結果】

 3月12日、2023年のWEC世界耐久選手権開幕を前にした公式テスト『プロローグ』の2日目のセッションがアメリカ・フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで行われた。

 午前のセッション3ではトヨタGAZOO Racingの7号車GR010ハイブリッドが、午後の最終セッション4では僚友8号車GR010ハイブリッドがトップタイムを記録している。

■アウトラップにコントロールを失ったフェラーリ499P

 セッション3は午前9時から3時間30分。開始早々に赤旗が提示される。アウトラップのターン1のバンプで、51号車フェラーリ499Pをドライブするジェームス・カラドがコントロールを失いクラッシュしたためだ。

 カラドに怪我はなかったものの、マシンはフロントエンドと右サイドにダメージを負い、結局このセッションでタイムを記録することはできなかった。

 再開されたセッション序盤、94号車プジョー9X8のニコ・ミューラーが一時1分49秒910というこのセッション最速タイムをマーク。だがこのタイムはやがて2台のGR010ハイブリッドによって破られることとなり、最終的には1時間が過ぎたところで7号車のマイク・コンウェイが1分48秒473を記録。このタイムが、セッション3の最速タイムとなった。

 セッション2番手にも8号車のセバスチャン・ブエミが0.008秒差で続き、トヨタがワン・ツーという形に。2日目に入ってポルシェ963勢もタイム差を詰めてきており、首位から0.484秒差の3番手に5号車が入ったほか、6号車が5番手タイムをマークしている。

 セッション4番手は2号車キャデラックVシリーズ.R。6番手の94号車プジョー9X8までが、トップのトヨタから1秒以内のベストタイムを記録している。

 LMP2クラスの最速はユナイテッド・オートスポーツ22号車オレカ07・ギブソン。これにプレマ・レーシングの63号車、ハーツ・チーム・JOTAの48号車が続いた。

 LMGTEアマクラスでは、プロジェクト1・AOの56号車ポルシェ911 RSR-19がトップタイムをマーク。以下アイアン・リンクスの60号車、アイアン・デイムスの85号車と続き、ポルシェ勢が上位を占める結果となった。

 なお木村武史のケッセル・レーシング57号車フェラーリ488 GTE Evoが最終コーナーでアクシデントに見舞われ、FCY(フルコースイエロー)が導入された。57号車はマシン左サイドを破損している。

キャデラック・レーシングの2号車キャデラックVシリーズ.R
ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの5号車ポルシェ963

 14時30分から3時間行われた最終セッション4では、トヨタ8号車のブレンドン・ハートレーがセッション最速タイムを記録した。ハートレーはセッション序盤のうちに、1分48秒216を記録。前日のセッション1で僚友ホセ・マリア・ロペスがマークしたタイムにわずか0.008秒及ばなかったが、2日間を通してトヨタがワン・ツーのタイムでテストを終えた。

 セッション3番手は、2号車キャデラック。このセッションで2日間の自己ベストタイムを更新した50号車フェラーリ499Pが4番手に入った。なお、午前のセッションでアクシデントに見舞われた51号車は、午後も出走していない。

 また、このセッション4では94号車プジョー9X8のグスタボ・メネゼスがターン3のバリアにノーズを接触させ、赤旗が導入された。プジョーは僚友の93号車も長時間の作業を強いられているが、詳細は明らかになっていない。

 LMP2クラスでは、このセッションでチームWRT41号車のロバート・クビサが最速となったが、2日間を通したトップタイムはセッション3で記録されたユナイテッド22号車フィリペ・アルバカーキの1分50秒577となった。

 LMGTEアマクラスではGRレーシング86号車ポルシェがセッション4では最速。2日間のトップタイムはこちらもセッション3でプロジェクト1・AO56号車のマッテオ・カイローリがマークした1分59秒170となっている。

 星野敏と藤井誠暢がドライブするDステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージAMRは、セッション3をクラス13番手、セッション4を14番手で終えた。木村の57号車フェラーリは無事最終セッションに出走、クラス9番手タイムを記録している。

 これで公式テストはすべて終了。引き続き、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第2戦セブリング12時間と併催される“スーパーセブリング”のレースウイークに突入する。

 14日月曜は走行セッションはないが、夕方には出場する車両たちの集合写真が撮影される予定となっている。WEC第1戦セブリング1000マイルのレースウイークの走行は、現地時間3月15日水曜10時55分に開始されるフリープラクティス1で幕を開ける。

フェラーリAFコルセの50号車フェラーリ499P
ケッセル・レーシングの57号車フェラーリ488 GTE Evo

■2023年WECプロローグテスト タイム結果/3月12日午前(セッション3)

Pos. No. Class Team Car Driver Tyre Time

1 7 HYPERCAR トヨタ・ガズー・レーシング トヨタGR010ハイブリッド M.コンウェイ
小林可夢偉
J-M.ロペス MI 1’48.473

2 8 HYPERCAR トヨタ・ガズー・レーシング トヨタGR010ハイブリッド S.ブエミ
B.ハートレー
平川亮 MI 1’48.481

3 5 HYPERCAR ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ ポルシェ963 D.キャメロン
M.クリステンセン
F.マコウィッキ MI 1’48.957

4 2 HYPERCAR キャデラック・レーシング キャデラックVシリーズ.R E.バンバー
A.リン
R.ウエストブルック MI 1’49.182

5 6 HYPERCAR ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ ポルシェ963 K.エストーレ
A.ロッテラー
L.ファントール MI 1’49.285

6 94 HYPERCAR プジョー・トタルエナジーズ プジョー9X8 L.デュバル
G.メネゼス
N.ミューラー MI 1’49.302

7 50 HYPERCAR フェラーリ・AFコルセ フェラーリ499P A.フォコ
M.モリーナ
N.ニールセン MI 1’49.558

8 93 HYPERCAR プジョー・トタルエナジーズ プジョー9X8 P.ディ・レスタ
M.イェンセン
J-E.ベルニュ MI 1’49.568

9 4 HYPERCAR フロイド・ヴァンウォール・
レーシングチーム ヴァンウォール・
バンダーベル680 T.ディルマン
E.グエリエリ
J.ヴィルヌーブ MI 1’50.038

10 22 LMP2 ユナイテッド・オートスポーツ オレカ07・ギブソン F.ルビン
P.ハンソン
F.アルバカーキ GY 1’50.577

11 63 LMP2 プレマ・レーシング オレカ07・ギブソン D.ピン
M.ボルトロッティ
D.クビアト GY 1’50.860

12 48 LMP2 ハーツ・チーム・JOTA オレカ07・ギブソン D.ベックマン
Y.イェ
W.スティーブンス GY 1’51.000

13 28 LMP2 JOTA オレカ07・ギブソン D.ハイネマイヤー・ハンソン
P.フィッティパルディ
O.ラスムッセン GY 1’51.000

14 31 LMP2 チームWRT オレカ07・ギブソン S.ゲラエル
F.ハプスブルク
R.フラインス GY 1’51.156

15 708 HYPERCAR グリッケンハウス・レーシング グリッケンハウス007 LMH R.デュマ
R.ブリスコー
O.プラ MI 1’51.173

16 36 LMP2 アルピーヌ・エルフ・チーム アルピーヌA470・ギブソン A.ネグラオ
M.ロハス
O.コルドウェル GY 1’51.286

17 23 LMP2 ユナイテッド・オートスポーツ オレカ07・ギブソン J.ピアソン
T.ブロンクビスト
O.ジャービス GY 1’51.317

18 41 LMP2 チームWRT オレカ07・ギブソン R.アンドラーデ
R.クビサ
L.デレトラズ GY 1’51.432

19 9 LMP2 プレマ・レーシング オレカ07・ギブソン F.ウグラン
B.フィスカール
Z.カルダレッリ GY 1’51.595

20 34 LMP2 インターユーロポル・コンペティション オレカ07・ギブソン J.スミエコウスキー
F.シェーラー
A.コスタ GY 1’51.601

21 10 LMP2 ベクター・スポーツ オレカ07・ギブソン R.カレン
M.カイザー
G.オーブリー GY 1’51.877

22 35 LMP2 アルピーヌ・エルフ・チーム アルピーヌA470・ギブソン M.バキシビエール
J.キャナル
C.ミレッシ GY 1’53.230

23 56 LMGTE Am プロジェクト1・AO ポルシェ911 RSR-19 PJ.ハイエット
G.ジャネット
M.カイローリ MI 1’59.170

24 60 LMGTE Am アイアン・リンクス ポルシェ911 RSR-19 C.スキアボーニ
M.クレッソーニ
A.ピカリエッロ MI 1’59.267

25 85 LMGTE Am アイアン・デイムス ポルシェ911 RSR-19 S.ボビー
M.ガッティン
R.フレイ MI 1’59.270

26 77 LMGTE Am デンプシー・プロトン・レーシング ポルシェ911 RSR-19 C.リード
M.ペデルセン
J.アンドラウアー MI 1’59.302

27 88 LMGTE Am プロトン・コンペティション ポルシェ911 RSR-19 R.ハードウィック
Z.ロビション
H.ティンクネル MI 1’59.305

28 57 LMGTE Am ケッセル・レーシング フェラーリ488 GTEエボ 木村武史
S.ハファカー
D.セラ MI 1’59.332

29 54 LMGTE Am AFコルセ フェラーリ488 GTEエボ T.フロー
F.カステラッチ
D.リゴン MI 1’59.392

30 33 LMGTE Am コルベット・レーシング シボレー・コルベットC8.R B.キーティング
N.バローネ
N.キャツバーグ MI 1’59.393

31 86 LMGTE Am GRレーシング ポルシェ911 RSR-19 M.ウェインライト
R.ペーラ
B.バーカー MI 1’59.497

32 21 LMGTE Am AFコルセ フェラーリ488 GTEエボ S.コスタンティーニ
S.マン
U.デ・ポー MI 1’59.689

33 83 LMGTE Am リシャール・ミル・AFコルセ フェラーリ488 GTEエボ L.P.コンパンク
L.ワドゥ
A.ロベラ MI 1’59.735

34 25 LMGTE Am ORT・バイ・TF アストンマーティン・
バンテージAMR A.アル・ハーシー
M.ディナン
C.イーストウッド MI 2’00.183

35 777 LMGTE Am Dステーション・レーシング アストンマーティン・
バンテージAMR 星野敏
C.スティーブンス
藤井誠暢 MI 2’00.372

36 98 LMGTE Am ノースウエストAMR アストンマーティン・
バンテージAMR P.ダラ・ラナ
A.ジェフェリーズ
N.ティーム
T.メレル MI 2’00.438

37 51 HYPERCAR フェラーリ・AFコルセ フェラーリ499P A.ピエール・グイディ
J.カラド
A.ジョビナッツィ MI No Time

■2023年WECプロローグテスト タイム結果/3月12日午後(セッション4)

Pos. No. Class Team Car Driver Tyre Time

1 8 HYPERCAR トヨタ・ガズー・レーシング トヨタGR010ハイブリッド S.ブエミ
B.ハートレー
平川亮 MI 1’48.216

2 7 HYPERCAR トヨタ・ガズー・レーシング トヨタGR010ハイブリッド M.コンウェイ
小林可夢偉
J-M.ロペス MI 1’48.333

3 2 HYPERCAR キャデラック・レーシング キャデラックVシリーズ.R E.バンバー
A.リン
R.ウエストブルック MI 1’48.890

4 50 HYPERCAR フェラーリ・AFコルセ フェラーリ499P A.フォコ
M.モリーナ
N.ニールセン MI 1’49.300

5 5 HYPERCAR ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ ポルシェ963 D.キャメロン
M.クリステンセン
F.マコウィッキ MI 1’49.716

6 6 HYPERCAR ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ ポルシェ963 K.エストーレ
A.ロッテラー
L.ファントール MI 1’49.856

7 94 HYPERCAR プジョー・トタルエナジーズ プジョー9X8 L.デュバル
G.メネゼス
N.ミューラー MI 1’50.137

8 41 LMP2 チームWRT オレカ07・ギブソン R.アンドラーデ
R.クビサ
L.デレトラズ GY 1’50.827

9 93 HYPERCAR プジョー・トタルエナジーズ プジョー9X8 P.ディ・レスタ
M.イェンセン
J-E.ベルニュ MI 1’51.217

10 48 LMP2 ハーツ・チーム・JOTA オレカ07・ギブソン D.ベックマン
Y.イェ
W.スティーブンス GY 1’51.324

11 22 LMP2 ユナイテッド・オートスポーツ オレカ07・ギブソン F.ルビン
P.ハンソン
F.アルバカーキ GY 1’51.414

12 36 LMP2 アルピーヌ・エルフ・チーム アルピーヌA470・ギブソン A.ネグラオ
M.ロハス
O.コルドウェル GY 1’51.513

13 10 LMP2 ベクター・スポーツ オレカ07・ギブソン R.カレン
M.カイザー
G.オーブリー GY 1’51.609

14 31 LMP2 チームWRT オレカ07・ギブソン S.ゲラエル
F.ハプスブルク
R.フラインス GY 1’51.699

15 4 HYPERCAR フロイド・ヴァンウォール・
レーシングチーム ヴァンウォール・
バンダーベル680 T.ディルマン
E.グエリエリ
J.ヴィルヌーブ MI 1’51.781

16 9 LMP2 プレマ・レーシング オレカ07・ギブソン F.ウグラン
B.フィスカール
Z.カルダレッリ GY 1’51.939

17 63 LMP2 プレマ・レーシング オレカ07・ギブソン D.ピン
M.ボルトロッティ
D.クビアト GY 1’51.965

18 23 LMP2 ユナイテッド・オートスポーツ オレカ07・ギブソン J.ピアソン
T.ブロンクビスト
O.ジャービス GY 1’52.012

19 28 LMP2 JOTA オレカ07・ギブソン D.ハイネマイヤー・ハンソン
P.フィッティパルディ
O.ラスムッセン GY 1’52.149

20 34 LMP2 インターユーロポル・コンペティション オレカ07・ギブソン J.スミエコウスキー
F.シェーラー
A.コスタ GY 1’52.228

21 35 LMP2 アルピーヌ・エルフ・チーム アルピーヌA470・ギブソン M.バキシビエール
J.キャナル
C.ミレッシ GY 1’52.457

22 708 HYPERCAR グリッケンハウス・レーシング グリッケンハウス007 LMH R.デュマ
R.ブリスコー
O.プラ MI 1’52.533

23 86 LMGTE Am GRレーシング ポルシェ911 RSR-19 M.ウェインライト
R.ペーラ
B.バーカー MI 1’59.253

24 83 LMGTE Am リシャール・ミル・AFコルセ フェラーリ488 GTEエボ L.P.コンパンク
L.ワドゥ
A.ロベラ MI 1’59.263

25 56 LMGTE Am プロジェクト1・AO ポルシェ911 RSR-19 PJ.ハイエット
G.ジャネット
M.カイローリ MI 1’59.478

26 60 LMGTE Am アイアン・リンクス ポルシェ911 RSR-19 C.スキアボーニ
M.クレッソーニ
A.ピカリエッロ MI 1’59.516

27 85 LMGTE Am アイアン・デイムス ポルシェ911 RSR-19 S.ボビー
M.ガッティン
R.フレイ MI 1’59.558

28 54 LMGTE Am AFコルセ フェラーリ488 GTEエボ T.フロー
F.カステラッチ
D.リゴン MI 1’59.599

29 33 LMGTE Am コルベット・レーシング シボレー・コルベットC8.R B.キーティング
N.バローネ
N.キャツバーグ MI 1’59.632

30 88 LMGTE Am プロトン・コンペティション ポルシェ911 RSR-19 R.ハードウィック
Z.ロビション
H.ティンクネル MI 1’59.694

31 57 LMGTE Am ケッセル・レーシング フェラーリ488 GTEエボ 木村武史
S.ハファカー
D.セラ MI 1’59.749

32 21 LMGTE Am AFコルセ フェラーリ488 GTEエボ S.コスタンティーニ
S.マン
U.デ・ポー MI 1’59.993

33 77 LMGTE Am デンプシー・プロトン・レーシング ポルシェ911 RSR-19 C.リード
M.ペデルセン
J.アンドラウアー MI 2’00.396

34 25 LMGTE Am ORT・バイ・TF アストンマーティン・
バンテージAMR A.アル・ハーシー
M.ディナン
C.イーストウッド MI 2’00.460

35 98 LMGTE Am ノースウエストAMR アストンマーティン・
バンテージAMR P.ダラ・ラナ
A.ジェフェリーズ
N.ティーム
T.メレル MI 2’00.471

36 777 LMGTE Am Dステーション・レーシング アストンマーティン・
バンテージAMR 星野敏
C.スティーブンス
藤井誠暢 MI 2’00.511

37 51 HYPERCAR フェラーリ・AFコルセ フェラーリ499P A.ピエール・グイディ
J.カラド
A.ジョビナッツィ MI No Time

※リザルトは編集部集計

LMP2総合最速となったユナイテッド・オートスポーツの22号車
LMGTEアマクラス総合最速となった56号車ポルシェ911 RSR-19

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