あふれ出たアドレナリン 今季最高5位の松山英樹が見た「きっかけの1%」

松山英樹は最終日に上位をおびやかした(撮影/田辺安啓(JJ))

◇米国男子◇ザ・プレーヤーズ選手権 最終日(12日)◇TPCソーグラス ザ・プレーヤーズ・スタジアムコース(フロリダ州)◇7275yd(パー72)

優勝争いの渦中にいる感覚が確かにあった。終盤17番(パー3)、PWでのティショットは恐怖のアイランドグリーンに立つピンの手前2.5mについた。大ギャラリーの視線を浴びた松山英樹のバーディパットはカップの右へ。「入らなかった時点で“可能性”はないな、と」。今季ベスト、“第5のメジャー”で自己最高の5位の結果はもとより、あふれ出たアドレナリンは何物にも代えがたい。

17番でバーディパットを外す(撮影/田辺安啓(JJ))

5アンダー26位からのティオフは、最終組より2時間25分も前。序盤3番(パー3)で10mを沈めたバーディをきっかけに、松山は猛チャージを仕掛けた。6番で残り150ydからピンの根元に落とす第2打を見せるなどショットも好調。アウト9ホールでのパーオン失敗は最後だけで、この9番(パー5)もカラーからパターでねじ込み4つ目のバーディを決めた。

風が読みにくいコンディションを攻略し、トップ10圏内でバックナインに入った。下りの5m弱を沈めた13番(パー3)までに3連続バーディ。「(首位に)1打差になったのも分かった。良いプレーができたなという感じでいました」

後半14番の2打目を大きく右に曲げた(撮影/田辺安啓(JJ))

痛恨のミスは続く14番。フェアウェイから4Iでの2打目は向かい風にもぶつかり大きく右へ。せり上がったラフから、カップに向かって下る“寄らないエリア”に打ち込み、ダブルボギーをたたいた。「あまり良い雰囲気ではなかった。そこでしっかりグリーンに乗せられるようなもの(スキル)がなかっただけ。いろんな選択肢がある中で一番やってはいけないミス」。1Wショットを右の茂みに入れた15番では、4mのパーパットをねじ込んでガッツポーズを作ったが、終盤に流れを引き戻せなかった。

7バーディの後に、ダブルボギー。最終18番でも1Wで右に曲げボギーを記録した「68」は攻めた結果でもある。初日10ホール終了時点の5オーバーから通算9アンダーまで巻き返した。

7バーディを奪った(撮影/田辺安啓(JJ))

「優勝争いをしたら、14、15、18みたいなミスも起きてくる。そこをしっかり打てるようになれば、もうちょっと安定して上位で戦えるかなと思う」という復調への実感が湧く。2戦連続予選落ちの後に、9位だった1月「ファーマーズインシュランスオープン」以来、今季2回目のトップ10。「ファーマーズの時よりも状態も良くなりそうな雰囲気があった。優勝争いに入っていけるかなあという感じがありました」と当時を上回る手応えもあった。

次戦はWGCデルテクノロジーズマッチプレー(撮影/田辺安啓(JJ))

オープンウィークを挟んで22日(水)開幕の「WGCデルテクノロジーズ マッチプレー」(テキサス州オースティンCC)に出場。その2週後に「マスターズ」(ジョージア州オーガスタナショナルGC)がある。「やっとね、きっかけの1%くらいが見えたくらい。これから勝つためにどれくらい必要かは分かっている。良い準備をしていきたいなと思います」と大きくうなずいた。(フロリダ州ポンテベドラビーチ/桂川洋一)

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