保険料はどちらが安い?割戻金がある? 共済と保険の違いとどちらを選べばよいかポイントを解説

共済と保険、TV・Web・新聞折込など広告宣伝が頻繁に行われ目にしない日はない商品です。いずれも家・車・ひとのリスクを保障する商品ですが、違いは何か理解せず加入しているひとも多いのではないでしょうか? 値段の違いだけではない、共済と保険の違いを解説します。


共済と保険の違い

共済とは、相互扶助を目的とし、組合員や会員がお金を出し合い助け合う仕組みです。保険も基本的には相互扶助の理念から始まっていますから考え方は同じですが、共済は組合員や会員のための非営利事業というのが保険との大きな違いです。

組合員のために行っている事業ですから、共済加入の条件として、原則組合員であることが必要です。共済事業の趣旨に賛同し、出資金をだすことで、組合員となります。各共済により出資金以外にも、地域に住んでいることが条件の共済もあります。

共済と名がつく組織はさまざまありますが、全国規模で知られている共済としては、CO・OP共済、都道府県民共済、こくみん共済、JA共済などがあげられます。共済と保険では、監督官庁や根拠となる法令も違います。先に挙げた4つの共済と保険について、一覧にしてみました。

共済は手軽で入りやすいのか?

共済は手軽で入りやすいと思われがちですが、本当に簡単なのでしょうか。共済の商品は定型プランがあり、商品選びは非常に簡単です。申込みは、書面、ネットからもできます。

実際、手続きを始めてみると、とても使いやすく、情報入力などはサクサク進んでいけました。少しむずかしいなと感じたのは、告知項目です。持病もなく過去に病歴がない場合は、質問事項に該当することがないので、簡単に次へ進めますが、現在通院している、健康診断で再検査をすすめられているようなひとは、告知の段階で苦戦しそうです。

質問に「はい」と答える項目があると、詳細の告知をしていかなければなりません。持病があっても条件付きで加入できる病気もいくつかはありますが、質問に「はい」と答えてしまうと加入できない場合が多いですから、持病を持っている場合は手軽に加入とは言えないようです。

保険に加入する場合は、担当する募集人が必ず同席し、申込のフォローをしますが、共済の場合、手続きは自分で進めていかなければなりません。正しい告知ができるのか不安が残ります。理解のないまま間違った告知で加入してしまうと、保険金を請求する際に、保険金が支払われないケースもあります。加入手続きは慎重に、わからない時は問合せ窓口に確認してすすめましょう。

共済加入のメリット・デメリット

手軽に入りやすい共済のメリットは、掛金が安いこと、そして、定型プランの掛金が2000円、3000円のように、簡素化されてわかりやすいことです。こどもや高齢者の場合は変わりますが、一定の年齢層では掛金が一律で、わかりやすい料金体系が特徴です。また、商品によっては年度ごとの経済状況により、組合員にお金を返還する割戻金があることもメリットです。

定型プランは選びやすく便利です。例えばCOOP共済の大人コース2000円を選択すると、以下のようにかなり幅広い保障がセットされています。
・入院日額6000円
・女性入院日額2000円
・ケガ通院日額1500円
・手術内容により1万円から8万円
・病気死亡100万円
・事故による死亡200万円
・家族の死亡、住宅災害

月2000円でこの保障は大変安いですが、ひとつひとつの保障金額は少し物足りない金額です。特約の種類が保険に比べて少ないので、特に心配な部分、例えば三大疾病のリスクを手厚くする、というような設計ができません。オーダーメイドを希望する場合は保険の方が適しているでしょう。掛金を定額に設定しているために、病気やケガのリスクが高まる高齢になると、保障金額が少なくなる傾向もあります。掛金をプラスして手厚くする方法もありますから、更新時には保障内容を見直すことも大事です。

保険加入のメリット・デメリット

共済と比較したときに一番のデメリットは、保険料が高いことでしょう。ですが、保険料が高い分、共済にはないメリットがあります。以下に3つの特徴をあげていきます。

●商品のバリエーションが豊富

共済は非営利事業でしたが、保険は相互扶助の理念ではありますが、営利事業です。他社との商品、価格競争が激しく、時代に即した商品が次々と発売されます。持病があっても加入できる緩和型商品の充実、高齢化に伴う介護保険の拡大、長く付合う病気になりつつあるがんに適応したがん保険など、選択肢が広いところがメリットです。

●告知の幅が広い

「はい」か「いいえ」で完結していくタイプの多い共済の告知に比べ、病歴や治療中の病気があった場合、詳細を告知することで、引受けられるケースがあります。例えば高血圧症の場合、投薬や定期的な診察を受け、数値が安定していることがわかれば、治療中であってもメンテナンスしコントロールしていると評価され、無条件で加入できることがあります。

●資産形成の商品がある

共済は保障重視の商品が多く、貯蓄型の商品は少ないですが、保険には個人年金保険、外貨建て保険、変額保険などに代表される、将来の資産形成目的の商品があります。死亡保障も兼ね備えているので、万一の備えにもなりますし、高齢化となり、長生きのリスクが取りあげられている現代では、資産形成は必須です。

共済と保険、どちらがいいかという判断は難しいですが、掛金が安く保障範囲が広い共済をベースにし、不足する部分を保険で備えるという方法もあります。反対にしっかりとしたベースを保険で備え、保障が必要な一定時期、安い掛金の共済で手厚くする方法もあります。自分の健康状態、経済状況を考え、オリジナルな設計を考えてみましょう。

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