2021年の夏にバルセロナを離れたリオネル・メッシ。新天地として選んだのはフランス・リーグアンのパリ・サンジェルマンであった。
これによってパリ・サンジェルマンは目標であるチャンピオンズリーグ優勝に近づくかと思いきや、2年連続でベスト16の壁を破れずに敗退した。
メッシに支払っているという6500万ドル(およそ89億円)ともいわれる巨額の給与はクラブ総給与の17%を占めており、そのコストパフォーマンスの悪さに批判も集まっている。
今回は『Sportskeeda』から「リオネル・メッシがパリ・サンジェルマンで失敗している5つの理由」をご紹介する。もちろんまだ失敗していると決まったわけではないが…。
PSGを強化したわけではない
パリ・サンジェルマンはメッシが来る前からフランスリーグで最も支配的なチームであった。メンバーも世界的な選手が揃っており、彼が加入することによって劇的な強化がされたわけではない。
これまでで最もチャンピオンズリーグ優勝に近づいたのはバイエルン・ミュンヘンとの決勝戦であったが、それはメッシがやってくる前のことだった。メッシが来ることが大きな刺激になるチームではなかったのだ。
そして35歳になるメッシには広範囲にディフェンスをするような能力はなく、その残りのメンバーは負担を分担しなければならない。周りの能力をさらに活かす存在ではないのだ。
ビッグゲームで活躍できない
パリ・サンジェルマンは欧州のビッグゲームでポテンシャルを発揮できないパターンが多く、2021年夏にリオネル・メッシが加入してからもそうである。
そしてメッシ自身は今季のバイエルン・ミュンヘン戦でもゴールやアシストを行うことができず、相手のカッチリ作られた組織の中で存在感を発揮できなかった。
これについてもパリ・サンジェルマンのチームとしての能力を高める補強にはなっておらず、リーグ・アンでさらに支配的になることにしか役に立っていない。
クラブの長期計画に悪影響がある
もちろんリオネル・メッシの加入はリーグ・アンにおけるパリ・サンジェルマンの支配力を高めた。しかしビジネス面で言えば、彼の莫大な給与や若手の流出は長期的に難しいことをもたらす可能性は高い。
今クラブの前線はメッシに加えてキリアン・エムバペとネイマールがいるが、そのバックアップはすでにウーゴ・エキティケしかいない。昔のように前線の層が厚いチームではなくなっており、実際に怪我人が出ればすぐにスクランブル状態となる。
かつてレアル・マドリーがジダネス&パボネスの流れでデビューさせた若手がなかなか開花しなかったように、アンバランスなチーム構成を余儀なくされているのだ。
チャンピオンズリーグで成績が落ちている
パリ・サンジェルマンは世界で最も裕福なクラブの一つであり、移籍市場に多額の投資を行っている。野心的なチームであることは間違いないが、ヨーロッパで勝てるチームにはなっていない。
欧州で勝つためにはハードスケジュールに耐えられる選手の質と層の厚さが必要になる。120分の延長戦を勝ち抜く力も手にしなければならない。途中出場の選手が6名使われることもあるわけだ。
しかしながらメッシの獲得は選手層の厚さをスポイルしてしまい、欧州で戦い抜く力を奪っているようにも見える。実際、メッシが加入してから2回ともベスト16で敗退している。
エムバペの自由が失われている
メッシが到着する前、キリアン・エムバペはパリ・サンジェルマンの主役としての地位を確立していた。そして、それによって与えられる自由を謳歌し、ピッチで自分自身のすべてを完全に表現することができた。
しかしながらメッシの加入によって彼はよりセンターフォワード的な役割をこなさなければならず、チームともその点を巡って衝突したと伝えられている。それは彼も最終的に納得したようだが、かつてほどエムバペらしさを発揮できる状況ではないように見える。
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エムバペを中心に据えるのか、メッシを中心に据えるのか。国内では結果が出ているとはいえ、欧州で勝つにはそれをはっきりさせるべきだろう。