倉敷の町家の原型 職人技堪能して 井上家住宅、19日から一般公開

 江戸期に建てられ、倉敷市美観地区に現存する町家では最古の井上家住宅(同市本町)が19日から一般公開されるのを前に14日、報道関係者向けの見学会が開かれた。昨秋に約10年にわたる保存修理工事を終えており、関係者が倉敷の町家の原型ともされる歴史的な建築物の魅力をアピールした。

 井上家は江戸期に威勢を誇った大商人「古禄(ころく)十三家」の一つ。1721(享保6)年築とされる主屋(延べ約570平方メートル)、三階蔵、井戸蔵、土塀2棟が2002年、国重要文化財に指定された。修理は12年から昨秋まで行われ、主屋の大部分と土塀が公開される。

 見学会では同住宅の吉田博充事務長(67)が邸内を案内。採光と目隠しを両立させる「倉敷格子」、火災に備えしっくい仕上げとした土扉付きの「倉敷窓」など、職人の手仕事による特徴的な建具を紹介した。雪見灯籠のある坪庭、備前焼の水がめを埋め込んだ台所といった往時の生活ぶりがうかがえる見どころも見て回った。

 一般公開は午前10時~午後5時(入館は4時半まで)。大人500円、小中学生300円。月曜休館。4月30日までは井上姓の人に限り、免許証などを見せると入館が無料になる。

 16代当主の井上典彦さん(57)は「江戸期の建築様式や大工の技術を堪能しながら、ゆったりとした時間を過ごして」と呼びかけている。

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