広陵・小林 センバツ制覇へ大役 児島中出「母にヒット打つ姿を」

 18日に開幕する第95回選抜高校野球大会で、甲子園の土を踏む岡山育ちの球児がいる。2年連続26度目の出場となる広陵(広島)の背番号6、小林隼翔(はやか)=新3年。倉敷・児島中から隣県の強豪校に進み、地道な努力を重ね攻守の要に成長した。自他共に認める「練習の虫」は主将の大役も担う。

 センバツ開幕を1週間後に控えた11日の練習試合。昨秋から指定席となった「4番、遊撃」で出場した小林は、終盤の好機で追い込まれながら逆方向の右翼線へ運ぶ適時二塁打を放った。

 秋は打率2割台前半と本領を発揮できず、同学年で前を打つ高校通算49本塁打のスラッガー真鍋慧が歩かされる場面も多かったという。オフの期間は「相手が真鍋と勝負せざるを得ないくらいのバッター」を目指し、広角に強い当たりを飛ばすスイングを追求。黙々とバットを振り込んできた成果が表れつつある。

 「口数は多くないが、行動で示すタイプ。手を抜いたところを見たことがない」と中井哲之監督の信頼は厚い。まさかの3回戦敗退に終わった昨夏の広島大会後、引退する先輩から満場一致で主将に指名された。失意の底から始動した新チームをひたむきな姿勢で鼓舞し、明治神宮大会準優勝に引っ張り上げた。

 努力を怠らないのは、母子家庭で支えてくれた母への感謝があるから。中学時代は硬式の西岡山ボーイズで野球に打ち込ませてくれ、県外への進学も後押ししてくれた。「母に甲子園で1本でも多くヒットを打つ姿を見せ、優勝に導きたい」。20日の初戦の相手は二松学舎大付(東京)。20年ぶり4度目となるセンバツ制覇に向け、上り調子のバットで勢いづける。

© 株式会社山陽新聞社