「生き地獄」つづる日記 被爆者の生きた証し 新たに45点 長崎・原爆資料館

新資料の収集に加え、大久保彰さんの遺品(中央)などの資料の追加調査にも取り組む後藤学芸員=長崎原爆資料館

 長崎市の長崎原爆資料館(平野町)は14日、主に2020、21年度に被爆者らから寄せられた被爆関連資料の展示を始めた。14歳で被爆し大けがを負った女学生が「生き地獄」をつづった日記など45点。市は本年度から、古い寄贈資料にまつわる情報を追加調査しており、展示の一部に反映した。7月3日まで。
 日記は、県立長崎高等女学校3年の時に三菱長崎兵器製作所大橋工場(爆心地から約1.2キロ)で被爆した立川裕子さん(92)が寄贈。体の約100カ所にガラス片などが刺さり、川棚の救護所で手当てを受けるまでの心情や周囲の惨状を記している。血で黒く変色した学校の徽章(きしょう)も一緒に展示している。
 長崎医科大付属医学専門部1年の時に被爆し、翌年に遺体で見つかった大久保彰さんの名札や腕時計も展示。45年前に遺族から寄贈されていたが、市被爆継承課の後藤杏学芸員(25)が本年度、大久保さんの弟に聞き取り調査をした。生前の大久保さんは手先が器用で、昆虫採集の趣味があったことなども新たに判明し、説明文に加えた。
 同館には千人超から寄せられた資料がある。本年度は寄贈者ら約80人への追加調査を終え、今後の展示にも生かす。後藤学芸員は「被爆者の生きた証しが分かる人柄や趣味も浮かび上がらせ、自分事と捉えられる展示を目指したい」と話す。

© 株式会社長崎新聞社