温泉街で夜の撮影会 龍神の観燈祭、初の夜店も盛況

灯籠が並ぶ龍神温泉街で写真を撮影する参加者(和歌山県田辺市龍神村龍神で)

 和歌山県田辺市龍神村の龍神観光協会は11日、龍神温泉街などに灯籠を並べる「冬の観燈祭(かんとうさい)」に合わせて撮影会を開いた。今回初めて「夜店」も同時開催し、地元の飲食店がたこ焼きやサンドイッチ、コーヒーなどを販売して、にぎわった。

 観燈祭は、旅館や飲食店の玄関先など龍神村の各地にろうそくの灯籠を並べて、夜を幻想的に彩る催し。夏と冬に実施しており、今回は3~12日に開いた。

 撮影会には県内外から写真愛好者ら約20人が参加した。浴衣姿の男女4人がモデルを務め、灯籠が並ぶ龍神温泉街を歩いたり、旅館の前でポーズを取ったりする様子を、参加者が写真に収めた。

 龍神村福井の奥野葉奈理さん(7)と妹の埜々花ちゃん(5)、弟の幹太郎君(3)も飛び入りで、着物や浴衣を着てモデルとして参加した。葉奈理さんと埜々花ちゃんは、地元の山本直子さん(74)が幼少期に着ていた着物を着て温泉街を訪れ、写真撮影に応じた。

 夜店では、龍神村の「テイクアウトカフェ カノン」がたこ焼き、「亜瑠絵巣」がサンドイッチ、「豆んと森珈琲」がコーヒーと焼き芋を販売。会場には温泉むすめ「龍神 晴(せい)」の等身大パネルも登場した。

 龍神観光協会の若井浩平会長(70)は「期間中、写真を撮りに来てくれる人も多かった。このイベントを通して、龍神村に来て少しでも楽しんでもらえたらうれしい」と話していた。

■着物姿で温泉街訪問 スウェーデン出身の2人

 この日は、ボランティアとして龍神村に滞在していたスウェーデン出身のヤック・ダーレンさん(28)と姉のマリーさん(33)も、着物姿で灯籠が並ぶ龍神温泉街を訪れた。

 2人は、龍神村広井原でかやぶきの古民家を改修した「龍乃原喫茶・食堂」を営むシンガポール出身の李先捷(リー・シェンジェ)さんを通じて、龍神村を訪問。農作業などのボランティアをしながら、地域の住民と交流してきた。

 2人が着た着物は、山本直子さんや龍神村龍神の龍神和子さん、古民家の改修を手がけた地元の大工、滝本則行さんとの縁で譲り受けたもの。マリーさんは「受け継いできた人の気持ちや、着物に込められた思いを感じる。歴史ある着物を着られて、とても名誉に思う」。ヤックさんは「以前から着物について興味があり、スウェーデンでも探していた。歴史のある着物を譲ってもらえて光栄。着る方法まで教えてくれて、とても感謝している」と話した。

和歌山県田辺市龍神村の住民から譲り受けた着物を着て、龍神温泉街を訪れたマリー・ダーレンさん(左)とヤックさん

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