ボロ家貸し出し、電柱敷地料、キノコ栽培用地…知る人ぞ知るこれからの不動産投資のカタチ

昨今、円安傾向が加速したことにより、海外投資家にとって国内不動産の割安感が高まり、特に都市部の不動産においては、低利回り化が進行しています。

いわゆるサラリーマン投資家を含めた個人投資家は、そういったライバルと同じ土俵で勝負をしなければなりません。そのため、「余裕資金ができたから、ちょっと投資してお小遣いを稼げたらいいな」といった購入動機では、不動産投資に伴い生じるリスクを補うだけの充分な利益を確保するのが難しく、節税対策や、今後の資産ポートフォリオの形成を図るためなど、”不動産収入で儲ける”以外の目的がないとチャレンジが難しい状況になっています。

そんな中、これまで多くの人が気づいていなかった、新しいスタイルの不動産投資を積極的におこなっている投資家が現れています。今回は、それらの事例をご紹介します。


DIY用にボロ家を貸し出す不動産投資

※画像はイメージです

1つめは、ボロ家を購入した不動産投資です。

空き家は全国例外なく増加しており、社会問題にもなっています。そんな中、自らDIYで改修して賃貸や民泊などで貸し出したり、賃貸物件を借りてDIYをしたい人へ、ボロ家をそのまま貸し出しだしたりするケースが続々と出ています。

リフォーム工事を専門業者に依頼せずに済むため、工事費用も部材費用だけに抑えられるうえ、今はYouTubeなどで誰でも気軽にDIYができる情報を得られるようになり、手間はかかっても、その手間自体を楽しめるという”一石二鳥”のメリットが浸透しつつあります。

また、昨今の社会情勢の変化で、地方移住や二拠点居住といった生活スタイルの変化も相まって、地方の農村部のような場所でも、そのような空き家を探している借り手・買い手も徐々に増えてきています。

これらの背景からも、初期投資を抑え、高い収益性の不動産投資が実現しやすくなっています。空き家は、個人投資家だけでなく、事業者からの注目が集まっています。

電柱敷地料から始める不動産投資

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2つ目は、電柱敷地料収入をきっかけにした不動産投資です。電柱敷地料とは、私有地に電力会社の電柱などを設置する場合には、その場所貸し料として、電力会社から土地所有者に支払われるものです。

一般的な電柱の場合は、年間で千円~数千円程度であることが大半で、不動産投資による収入としては少なすぎる印象を受けるかもしれません。しかし、収益性の点から考えると、決して悪い買い物ではないケースもあるのです。

これら電柱敷地料収入のある土地の中には、市街地の宅地に限らず、固定資産税すら発生していない郊外の山林や原野といった土地もあります。このような土地は、ほとんど利用されていない放置状態である背景から、土地所有者は「遠方の土地で持っていても仕方ないので、1円でもいいから、譲り受けてほしい」と考えていることが少なくありません。

そのため、仮に年間3,000円の電柱敷地料収入の土地を1円で購入できれば、一般的に10~30年間の賃料収入で投資額を回収する不動産投資に比べると、その数千倍~数万倍の収益性のある不動産投資とみることもできます。もちろん、取得時の登記費用といった諸経費を考慮する必要はあり、実質的な収益性としての判断するのは早計ですが、この後に挙げるような他の不動産収入も模索していくことで、非常に高い収益性を実現することも可能なのです。

家庭菜園やキノコ栽培用地としての不動産投資

3つめは、趣味の一環として、家庭菜園やキノコ栽培、山菜採取を目的に山林や原野を使いたいというニーズを生かした不動産投資です。もちろん、そのような希望者へ貸し出すにしても、それほど高額な収入は見込めないものの、それでも「オーナーとして特に整備しなくても、初期投資なく賃貸収入が得られる」という点で、気軽に始められ、高い収益性を期待できる不動産投資の一つです。

また、本来は倒木予防の為の伐採や草刈りなど、所有者として負うべき維持管理責任を、借り手に委ねられることが大半で、支出がほとんど無いために「収入≒利益」という状態を生み出しやすいことも特筆すべきポイントです。

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眠っている不動産がたくさんある

このように、収入額は少なくとも、高い収益性を期待できる不動産投資の方法もあるのです。さらに特徴をまとめると

・もともと放置していた土地であるため、非常に安価で土地を取得できる
・貸し出しにあたって、維持管理費用やクレームなどが生じにくい
・新たな投資家へ、取得時以上の価値で転売ができる可能性がある

といったことが挙げられます。

特に、他人に貸している間、自分は何もしなくとも、敷地の維持管理がなされるため、資産価値を保ちやすく、その価値が高まる(=売却時のキャピタルゲインが期待できる)点も魅力です。

これは、相続などをきっかけとした、放置された山林、原野などの「遊休不動産」が急増しており、使い道もなくなったと諦められている土地の活用策として、徐々に気づかれている「これからの不動産投資」と言えるでしょう。

なお、このような不動産は、不動産検索サイトや不動産会社でもなかなか取り扱いがなく、見つけにくい不動産でもあります。しかし、最近は個人間のマッチングサイトも増えてきており、こういった小額投資で高収入を見込めそうな候補物件を気軽に見つけられるチャンスも生まれています。

遊休不動産所有者も、処分を検討するなら良いタイミング

先に述べた通り、相続などにより不要な不動産を引き継いでしまった所有者は非常に多く、新たな買い手が見つからない限り、気軽に処分もできない環境下にあります。

そこで、このような不動産投資へのチャレンジを検討したり、そういった不動産投資に興味がある個人へ売却したりすることも一案です。また、あまりにも整備状態の悪い不動産の場合は、1円でも買い手が付かないケースもあるかもしれません。そういった物件は、最低限の整備をしたうえで賃貸・転売を図る専門業者も現れてきていますので、そういった会社へ処分依頼を検討することも有効でしょう。

※本記事は投資助言や個別の不動産売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

参考記事:クラファンで負動産再生 出資者との議論がアイデア生む

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