3年待たせてごめん…卒業式当日、事故で入院した担任は「もうひとつの式」に招かれた ようやく言えた「おめでとう」

卒業生にお祝いの言葉を述べる元担任の坂元宏輝教諭=14日、南大隅町根占川北の神山小学校

 「卒業おめでとう。3年間待たせたね」-。鹿児島県内の公立中学校で卒業式があった14日、南大隅町の根占中の3年生32人が、母校の神山小で準備されたもうひとつの「卒業式」に招かれた。3年前の式当日、交通事故に遭い参加できなかった担任の恩師が出迎え、一緒に改めて門出を祝った。

 2020年3月24日、6年1組の担任、坂元宏輝教諭(33)は車で登校中、トラックと衝突し救急車で運ばれた。幸い大きなけがはなかったものの、安静のため3日間入院。クラスは驚きと不安に包まれた。

 3年を経て、改めて笑顔でお別れしてもらおうと、保護者らが“リベンジ”の卒業式を企画。中学卒業式終了後の午後1時過ぎ、保護者ら約60人が神山小体育館に待ち受けた。生徒32人を先導して入場する坂元さんは、涙を浮かべていた。

 黒板に書いた祝福のメッセージを示しながら、「3年前は本当にごめん。将来みんなとお酒を飲むのが楽しみ」と伝えた。その後、手作りの卒業証書を一人一人に手渡した。

 生徒はお礼に人気ロックバンド「RADWIMPS」の「正解」を合唱。徳元蓮太郎さんは「面白くて優しく、接しやすい先生だった。卒業証書を直接もらってうれしかった」と喜んだ。坂元さんは「卒業生や保護者が来てくれて感動した。友達や親に感謝しいつまでも笑顔で、幸せでいてほしい」とエールを送った。

【別カット】教え子たちに囲まれ笑顔の坂元宏輝教諭(前列中央)ら=14日、南大隅町根占川北の神山小学校
笑顔で卒業証書を手渡す坂元宏輝教諭(左)=14日、南大隅町根占川北の神山小学校

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