ispace、東証グロース市場に上場 ミッション1のランダーは順調に月へ飛行中

株式会社ispaceは2023年3月8日、東京証券取引所グロース市場への新規上場を承認されたと発表しました。東京証券取引所グロース市場への上場日は2023年4月12日を予定しており、株式売買は同日以降に可能となるということです。

株式会社ispaceは、現在同社の月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1を行っています。同ミッションのランダー(無人月着陸船)は月への飛行を続けており、2023年4月に月の「氷の海」の南東に位置するアトラス・クレーターに着陸する予定です。

【▲ 月面に着陸したispaceのランダーの想像図(Credit: ispace)】

株式会社ispaceは日本・ルクセンブルク・米国に拠点を置く日本の民間宇宙企業です。同社は民間による月面探査プログラムHAKUTO-Rに取り組んでおり、現在は技術実証目的の「ミッション1」を実施中。2024年には次の「ミッション2」の実施を予定しています。

ミッション1のランダーは2022年12月11日16時38分(以下全て日本時間)に米国フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げられました。同ミッションは「ランダーの設計及び技術の実証」と「月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証及び強化」を目的としています。ランダーは順調に飛行を続けており、2023年1月20日に地球から最も遠ざかる約137万6000kmの地点に到達。同社によれば、この距離は民間資本で開発され商業的に運用された宇宙機が到達した地球からの最遠距離だとしています。3月7日の時点で地球から約58万kmの地点にいると発表されているランダーは、今後数週間で月周回軌道に投入され、着陸に向けて準備が行われる予定です。

ispaceでは、すでにミッション2で使用されるランダーの開発や顧客のペイロードの決定など、次回以降のミッションに向けた準備が進められています。ミッション2のランダーは顧客のペイロードに加えて、ispaceが開発したマイクロローバー(小型月面探査車)を月面に輸送する予定です。同社はランダーとマイクロローバーを利用して収集した月面のデータを同社が進めるデータサービスの開発へ活用するだけでなく、政府系宇宙機関から公開される情報と統合することでデータ・プラットフォームを構築することも狙っています。また、マイクロローバーには月のレゴリスを採取する装置が搭載される予定で、採取した月のレゴリスをアメリカ航空宇宙局(NASA)へ譲渡する月資源商取引プログラムもミッション1に引き続き実施される見通しです。

【▲ HAKUTO-Rミッション2で使用されるランダーの熱構造モデル(Credit: ispace)】

参考記事:着陸予定は2023年4月末 民間月探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1は後半段階へ(2023年3月6日)

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  • ispace \- 東京証券取引所グロース市場への新規上場承認に関するお知らせ
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文/出口隼詩

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