“命の大切さ伝えていく” 被爆樹木のモニュメント完成 長崎・城山小

完成したカラスザンショウのモニュメント=長崎市立城山小

 長崎原爆の爆心地から500メートル地点にある長崎市城山町の市立城山小の被爆樹木で、2016年に枯死した「カラスザンショウ」のモニュメント(立体模型)が完成し、14日、関係者に披露された。
 カラスザンショウは原爆の熱線を受けながらも、そばのムクノキにもたれかかるようにして、70年以上生き延びたが、7年前の寒波で枯死が確認された。
 その後も薬剤塗布などの処置を続けていたが、劣化が進行。防腐処理を施し、昨年8月、同校敷地内の被爆遺構「旧城山国民学校校舎」に移設した。
 その後、地域や保護者などから「被爆の実相と支え合いの大切さを伝えてきた姿を残してほしい」と要望があり、市は昨年9月から移設時に保存していた3Dデータなどを基に制作した。

カラスザンショウのモニュメント完成に合わせあいさつする6年生=長崎市立城山小

 モニュメントはFRP(繊維強化プラスチック)製。長さ約7.5メートル。かつてカラスザンショウが生育していた場所に設置した。同日、6年の永田優翔さん、宮野嘉千さん、片岡悠樹さんは「実物がなくて寂しかったのでうれしい。カラスザンショウから学んだ生きる素晴らしさ、命の大切さを伝えていく」と話した。この後、3年生約90人が、この木をテーマにした曲「カラスザンショウとふたごぐす」を歌った。
 旧城山国民学校校舎は昨年夏、安全性の確認ができずに非公開としている校舎の3階以上と屋上の景観をスマートフォンなどで見ることができるデジタルコンテンツを整備。爆心地と山王神社二の鳥居で、被爆当時の様子や当時をイメージして作ったアニメーションを見ることができるAR(拡張現実)活用のコンテンツも本年度内に整備する予定。

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