倉敷市児島に昔からあるボートレース児島。
無料でレース場まで送迎しているバスもよく見かけます。
筆者としては、今までとくに行ってみたいと思ったことはありませんでした。
なぜならば、ボートレースといえば赤鉛筆を持ったおじさんたちが、新聞を見て賭け事をしているイメージだったからです。
ですが、最近ではテレビやCMで有名な芸能人が出て宣伝や応援をしています。
友達の子どもがボートレース選手になりたくて、試験を受けた話を聞きました。
筆者の周りでボートレースが身近に感じられることが多くなり、どんなところなのだろうと興味が湧いてきました。
女性が行くには勇気がいるし、やり方もよくわからない……。
友達同士で気軽に行けて、ボートレースの説明もしてくれる、そんなイベントがないかなと思っていた矢先。
「ボートレース児島であそボートツアー」のチラシを発見したのです。
瀬戸内海をみながらボートレースとアフタヌーンティーが楽しめる。
まさに筆者が待ち望んでいた内容のイベントに、これだ!と思い、すぐに申し込みをしました。
ボートレース児島であそボートツアーとは
「ボートレース児島であそボートツアー」は、ボートレース児島と一般財団法人BOATRACE振興会の共同事業により実施されたツアーです。
2023年の1月から3月までのレース開催日の土曜・日曜に、8回限定として実施されました。
代金はなんと一人2,000円(税込)。
親子で参加の場合は、子どもは無料となっています。
あとから聞いたところによると、すぐに完売してしまったとか。
興味はあるけれど、行く機会がない。
そんな人々の願いをかなえたような内容で、楽しそうなイベントです。
ボートツアー開始
さっそくツアーのようすを紹介していきましょう。
児島駅に集合
この日はあいにくの雨。
児島駅の館内では、バスガイドさんが次々に来る予約者の受付をしていました。
午前10時になると、送迎バスの乗り場まで歩いて移動します。
子ども連れの家族や、女子のグループ、ご夫婦での参加などさまざまな年代がいました。
バスに乗り込むと、バスガイドさんが簡単にツアーの内容を説明してくれます。
ボートレース場まではあっという間の時間ですが、バスに乗るとウキウキ旅行気分になりますね。
ボートレース場に到着
児島駅からは、5分くらいで到着。
雨が降っていたので、ボートレース児島のスタッフはカッパを着てお出迎えです。
通常は入場料100円が必要ですが、今回はツアー代金に含まれています。
筆者は初めてのボートレース場にきょろきょろ。
入口は天井が高くて、思わず上を見上げてしまいました。
広いなあ。
バスガイドさんの先導のもと、足早にロイヤルルームに向かいます。
特別なお部屋 ロイヤルルーム
ロイヤルルームは、5階にあります。
当日料金3,500円で利用できるロイヤルルーム。
こちらに特別に入れるのは、このツアーの特典です。
エレベーターを上がると、ふかふかの絨毯が敷いてあってホテルのロビーのよう。
室内は広々としていて、ソファーやカウンター席など一人でもグループでも楽しめる仕様になっています。
海側は全面が窓になっていて、景色も抜群。
上からレース場が見渡せるのでゆっくり観覧できそうです。
この日は雨だったので、海も空も濁ってちょっと残念でしたが、晴れていたら素晴らしい景色だったことでしょう。
ボートレース疑似体験
席につくと、机の上には出走表というレースデータの掲載された表や、6艇のボートとターンマークのマグネットが置いてあります。
早速ボートレース予想ゲームの説明が始まりました。
今回は、倉敷ケーブルテレビ「はなまるPARK児島DE遊ぼ~と」の番組リポーターでボートレース児島のPRアンバサダー阿部明日香(あべ あすか)さんが進行してくれます。
ボートレースは、6人の選手がコースを3周回って順位を競います。
ツアー参加者は、ボートレースが初めての人がほとんど。
なかには30年ぶりに来たというご夫婦もいました。
今回のツアーは予想ゲームで、1着になる選手を予想し、当たった人にはすてきな景品がプレゼントされます。
インフォメーションマネージャの片山さんが、レースの基本を説明し、予想を教えてくれます。
もちろん何番の選手を選ぶかは個人の自由。
筆者は片山さんを信じて、1号艇の選手を選びました。
結果は、残念!1着は3号艇でした。
予想が当たった参加者は2人いて、児島にあるジーンズメーカーである「ベティスミス」のポーチがプレゼントされていました。
そして、もう一度チャレンジ!
みんな真剣です。
予想は外れても、みんなでワイワイ応援しながら選ぶ時間はとても楽しいですね。
筆者は残念ながら当たらなかったけれど、レーサーが一生懸命競技をしている姿を応援することは、スポーツ観戦と同じで勇気と元気をもらいました。
アフタヌーンティー
お待ちかねのアフタヌーンティー(※)です。
※アフタヌーンティーとは、イギリス発祥の喫茶習慣で、スイーツを楽しみながらのお茶会。倉敷では、「倉敷アフタヌーンティー」として年2回開催されている人気のイベント。
筆者はレースの説明を聞きながらも、後ろで準備をしてくれているスタッフのようすが気になってそわそわしていました。
今回のお弁当やお菓子は、倉敷駅前「あちてらす倉敷」の中にある「.KOMBINAT」のお店からケータリングしたものです。
お店で手作りしたお菓子やケーキがきれいに並べられていきます。
見ているだけでもうっとり。
食べたいお菓子を「.KOMBINAT」のスタッフがサーブしてくれます。
ひとつ一つが小さくて、何個でも食べられそうなので、全種類取り分けてもらいました。
お昼の軽食は、二段弁当
軽食といいながらもボリューム満点の二段弁当。
サンドイッチや肉だんごにサラダ。これだけでも十分な量です。
ジュースやコーヒー・紅茶は、セルフで飲み放題。
筆者は女子三人で参加したのですが、ケーキやお菓子は別腹でぺろりと食べてしまいました。
お腹いっぱいになった後は、早速ボートレースに挑戦です。
ツアーでは、2レースの予想ゲームはお金はかけません。興味がある人は、そのあとのレースで実際に舟券を買えます。
舟券の書き方や買い方をピース姫に教えてもらい、女子三人で次のレースを予想します。
- 次はどのボート選手を応援する?
- どの選手がイケメン?
- 何歳?
当たったらどうしようと妄想しながら楽しいひと時を過ごします。
結果はだれも当たりませんでしたが、100円から買えるので、気軽に挑戦できました。
レーサーになった気分が楽しめるVR体験
今回のツアーの目玉のひとつ。「ボートレースVRスプラッシュバトル」。
実際に本物と同様のつくりのボートに乗って、全国のボートレース会場とオンライン対戦できるVRでレースを競います。
筆者もチャレンジしてみました。
まずボートには正座で座ります。
選手も正座でレースに挑むと聞いてびっくり。
ゴーグルをつけると目の前が水面一面になり、ボートに乗って浮かんでいるようです。
ブレーキはなく、アクセルのみで走行します。
カーブが難しく、健闘(?)しましたが最下位。
本当に勝負をしているような気分を味わい、選手のことを身近に思える貴重な体験が出来ました。
カメラ講座
筆者が参加した日は、カメラ講座がある日でした。
カメラ講座がない日は、ワークショップを開催します。
倉敷女子コレクションのスタッフがきて、以下のうち二点を作ります。
- 畳縁のアクセサリーづくり
- 瀬戸内うろこのボールペンづくり
- デニムミニリースづくり など
今回は「スマホでもきれいに写真を撮ろう」をテーマに、ボートレース専属のカメラマンのカメラ講座がありました。
まずはカメラの基本的な構図の説明があり、その後は実践です。
写真スポット用に飾られた「.KOMBINAT」のアフタヌーンティーの写真を撮ります。
そして、次に人物の写真に挑戦します。モデルは「.KOMBINAT」のスタッフ。
先生に構図を教えてもらい、自分では撮れないようなエモい写真がとれました。
1階の屋外で応援
筆者が参加した日はお天気が悪く、本来ならば鷲羽山の展望台に行く予定でしたが、中止になってしまいました。
代わりに、ボートレース場の屋外席で観覧を楽しむことに。
ロイヤルルームからの眺めも最高でしたが、やはり実際にエンジンの音を聞きながらの観戦は、迫力満点。
応援にも熱が入りますね。
ベティスミスでのストラップ作り体験
ここでボートレース児島とはお別れ。
バスが見えなくなるまで、手を振ってくれていたスタッフや関係者の姿が印象的でした。
ボートレース場からはバスで10分、児島の観光地「ベティスミス」へ到着。
児島は「国産ジーンズの発祥地」として有名ですが、なかでも「ベティスミス」は老舗の店舗です。
ジーンズミュージアムやジーンズアウトレット、ジーンズ作り体験などがあります。
ベティスミスでは、デニムのストラップ作りを楽しみました。
箱の中から自分の好きなデニムの紐と、リベットを選びます。
スタッフに手伝ってもらいながら、リベットを取り付けて完成。
ストラップ作りもツアー料金のなかに含まれているとは驚きです。
そのほか、ボートレース児島からもお土産として、以下のものをもらいました。
- カモ井加工紙のマスキングテープ(mt) ※今回のボートレース児島であそぼ―とツアーのお土産
- クリアファイル
- ポーチ
- ステッカー
- ご招待チケット
予想以上のお土産に大満足な一日です。
1日まるまる遊べておいしいものが食べられる盛りだくさんの楽しいツアー。
このツアーを企画したボートレース事業局の横田裕子(よこた ゆうこ)さんに、話を聞きました。
インタビュー
倉敷市役所職員でボートレース事業局の横田裕子(よこた ゆうこ)さんに、今回のツアーについて話を聞きました。
ツアーの企画について
──なぜこのような企画を考えたのですか。
横田(敬称略)──
私は、2022年4月の異動でボートレース児島に配属されました。
ボートレース児島の来場者の多くは、ご高齢のかたがたや男性グループ。
最近はインターネットでもチケット(舟券)を購入できるので、年々来場者は減っています。
来場者を増やしたい、とくに女性に来てもらいたい、そのためにはどうしたらいいか。
私は児島のボートレース場に来て、なんてすばらしい景色だと思ったんですね。
この景色をたくさんの人々に見てもらいたい。
そしてもうひとつ何かないかなと考えて、「倉敷アフタヌーンティー」を思い出したのです。
実は観光課に所属していたときに「倉敷アフタヌーンティー」の事業に携わっていました。
「倉敷アフタヌーンティー」のために、他県から倉敷に旅行に来るほど動員力があるイベント。
景色の良いボートレース場でアフタヌーンティーを楽しめるようにすれば、女性のグループや普段来たことがない初心者にも訪れてもらえるのではないかと考えました。
ボートレース場ならではの魅力
──このツアーの見どころを教えてください。
横田──
まずはボートレース場からの眺めを楽しんでもらいたいです。
普段は有料会員しか使えない5階のロイヤルルーム当日席の1室を貸し切りにしています。
ゆっくりとソファーに座って、景色を眺めながらお友達との会話を楽しんでください。
そして、アフタヌーンティー。
最初は、お弁当の中にランチとスイーツを入れた軽食を考えていたんです。
ですが「.KOMBINAT」の協力で、実際にお店で提供しているようなアフタヌーンティーの盛りつけが実現しました。
写真を撮って、Instagramなどにアップしてもらえるための展示用の飾りもあります。
その他にも、VR体験やワークショップ、ボートレース児島のマスコットキャラクターである「ガァ~コ」との写真撮影。
ボートレース場を出てからもジーンズストリートやベティスミスに行ったり、鷲羽山の展望台に行ったり、地元のかたでも観光客でも一日盛りだくさんで楽しめるツアーとなっています。
新しいボートレース児島
──これからのボートレース児島について、どのようになっていってほしいですか。
横田──
今回は8回の限定ツアーでしたが、ツアーに参加いただく条件としてアンケートをお願いしています。
アンケートを参考にしながら、次もなにか楽しいことができたらいいなと考えています。
ボートレース児島は倉敷市の管轄で、公営競技の一つです。
ボートレースの収益金は、新型コロナウイルス感染症対策のために使われたり、平成30年7月豪雨の復興のために使われたり、倉敷市の一般会計として繰り出しているのです。
ボートレース児島は、今後改修工事の予定。
新しくなる建物は、避難場所としても使われ、子どもたちが気軽に遊べるような施設も予定されています。
ボート好きもボート好き以外の人も気軽にきてくれるレジャー施設の一つとして、観光地の一つとして楽しんでもらえるようになればいいなと思います。
おわりに
今回このツアーへ参加して、ボートレース場のイメージが180度変わりました。
実は、倉敷市の施設だったことも驚きです。
ボートレース場は、全国に24か所しかなく、そのうちの一つが児島にあるのです。
ボートレースが生で見られる環境にあるのは、実は貴重なことなのだなと知りました。
またボートレースは、男女関係なく、最年少17歳から70代の現役の選手が同じフィールドで戦える唯一無二のスポーツ。
倉敷市民として、純粋に応援したいなと思いました。
近い将来新しく生まれ変わるボートレース児島。
倉敷市の新しい観光地として地元の人はもちろん、観光客も楽しめる施設になってほしいです。