資源生かし地域活性化 南部高、探究学習の成果発表

探究学習でのまとめを発表する生徒(15日、和歌山県みなべ町芝で)

 和歌山県みなべ町芝、南部高校の1年生が15日、「和歌山の活性化」をテーマにした学習のまとめを発表した。本年度から全国の高校で始まった「総合的な探究の時間」(探究学習)による取り組みで、地域課題の解決策について自分たちの考えを示した。

 探究学習は、身近にある課題を設定して、関連する情報を集めて分析し、解決する方法を自分たちで考える取り組み。地域との連携も重視する。同校では普通科や食と農園科計5クラスの1年生94人が昨年11月から学習してきた。クラスごとに4、5班に分かれ、みなべ町や田辺市、白浜町、上富田町の地域の現状や魅力とともに、課題を出し合い、それに対する解決策を出してまとめた。それを各クラスが生徒同士で評価し合い、投票で1、2班ずつ優秀なまとめを選んだ。

 15日には各クラスから選出された計8班が視聴覚室と多目的室の2会場に分かれ、通信回線でつないで順番に発表した。

 みなべ町について調べた班は人口減を課題に挙げ、対策として「イベントや梅のおいしさをアピールするとともに、町をきれいにして人を呼び込むのがいい」と発表した。

 田辺市を取り上げた班は、住み続けたいと思える地域にするために紀州備長炭の原木であるウバメガシに着目し、「林業に興味を持つきっかけになり、定住につながる」と説明した。

 上富田町を取り上げた班は、充実する施設を使ってのスポーツや、町の資源であるヤマモモを活用した活性化を提案。白浜町を取り上げた班は、アドベンチャーワールドをアピールするとともに、動物の食べ残しやふんを使って肥料を作って売り出すほか、砂まつりを北海道の雪まつりのような大きなイベントに発展させ、人を呼び込むことを解決策として挙げた。

 田辺市上芳養の新井そらさん(16)は「田辺市のほかの地域のことはあまり知らないので、調べてみて楽しかった。班のみんなで協力して取り組み、有意義な活動ができた」。担当した普通科の池村祐佳教諭は「課題の設定は大人でも難しい。資源に着目し、よく解決策を見いだしたと思う。発表は、とりわけ普通科の生徒には機会が少ないので、良い経験になったかと思う」と話していた。

 紀伊民報は、南部高校などに教材として電子版の記事を提供しており、各校の探究学習を公開するウェブページで、今回発表した南部高校の取り組みなども紹介する予定。

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