【日本薬剤師会】電子版お薬手帳GLにパブコメ提出/金銭的インセンティブによるマーケティングを問題視

【2023.03.16配信】日本薬剤師会は3月16日に定例会見を開き、電子版お薬手帳ガイドラインに対するパブリックコメントを提出したことを明らかにした。その中でお薬手帳は社会的なインフラであることから、金銭的インセンティブを使ったマーケティングを問題視する意見を提示した。

提出したパブコメは以下の通り。

[法人名] 公益社団法人 日本薬剤師会(会長 山本 信夫)

[意見]

【意見】 お薬手帳の意義及び役割について、 追加記載を希望する。
【理由】 ガイドラインでご提案の通り、 お薬手帳には利用者自身が医薬品に対する意識を高めることによるセルフメディケーション・健康増進に繋げることや、 医薬品の安全で有効な薬物療法に繋げることである。 今後、本ガイドラインに記載の意義や役割が各所にて引用される可能性を鑑み、例示されている利用シーンが医療における活用のみの記載であるため、一般用医薬品等の利用シーンの追加記載をお願いしたい。
※P1.中段
○複数の医療機関を受診する際及び薬局にて調剤を受ける際に、・・
○複数の医療機関を受診する際や薬局にて調剤を受ける際、 また、 要指導医薬品・一般用医薬品等を購入する際に、..

【意見】 電子版お薬手帳を取り巻く環境と活用の必要性について、 追加記載を希望する。
【理由】 セルフメディケーション・健康増進、医薬品のより安全で有効な薬物療法の実現を考える上で、 要指導医薬品や一般用医薬品等の管理は非常に重要である。 お薬手帳は提供薬局・診療所・病院等で活用されてきたが、 前述の管理を進めていくためには、一般用医薬品の販売を行っているドラッグストアにおいても積極的な活用が期待されるため、店舗販売業についても記載を追加し、積極的活用を促していただきたい。
※P2.下段
各提供薬局・診療所・病院(以下「提供施設」という。)において、

各提供薬局・診療所・病院(以下「提供施設」という。)において、 また、店舗販売業においても、

【意見】 運営事業者等が留意すべき事項について、本項目 「情報セキュリティ」 「個人情報の適切な取り扱い」 に関して、 追加記載を希望する。
【理由】 お薬手帳は多くの提供施設において活用されるべきものであるが、 多種多様なサービスが存在している。 この状況において、お薬手帳の情報を共有し社会的プラットフォームとして実現していくことを目的とし、日本薬剤師会はe薬 Link を運営している。また、お薬手帳は、 調剤報酬での服薬管理指導料等の留意事項においても記載がある通り、 医薬品の適正使用において重要な役割を担っており、それらの方向性に準じた運用がなされるべきである。直近、他領域においてはアプリやサービス等のシェア獲得のため、 金銭的インセンテイブを使ったマーケティング活動が行われているが、シェア獲得や二次利用によるマネタイズを目的としたお薬手帳に対する金銭的インセンティブを使ったマーケティング活動は社会的インフラとしてのお薬手帳の意義にそぐわないばかりか、 保険上の規則に違反する可能
性もある。 結果として 「提供施設」の保険上の問題にもなりかねず、 運営事業者等に適切な運営を促す記載が必要と考える。
2.運営事業者等が留意すべき事項
(追記)
3) 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則を踏まえた適切な運営について
お薬手帳は調剤報酬等に係る留意事項でも記載されている事項であり、特定のお薬手帳を利用することによるポイント等の付与は適切な健康保険事業運営の観点からふさわしいものではなく、行うべきではない。 特定の 「提供施設」 へ誘引することにもなりかねないため、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則を踏まえた適切な運営が必要である。

【意見】 2. 運営事業者等が留意すべき事項 (4) の章立てについて、 現在の章立ては、1) 情報セキュリティ、 2) 個人情報の適切な取り扱い、 3) 全般的事項、 4) 基本的な対応、 5) 電子版お薬手帳サービスとしての機能となっているが、 そもそも論として、 3)、4) 5), 1) を実現 (実装) した電子版お薬手帳に対して、 2) に示されている情報の二次利用が配慮される議論がなされていたと認識している。 現在の章立てでは、その流れが読み取れず、情報の二次利用をあたかも自己申告のみで可能とするように読み取れる。 このため、章立ての変更と、情報の二次利用については、マイナポータル API との連携を必須とする等の記載が必要と考える。

【意見】 1) 情報セキュリティ (14) について、参考までに医療に関する情報を取り扱う事業者が準拠すべき医療情報の保護に関するガイドライン 「3省2ガイドライン」を加えて いただきたい。
【意見】 マイナポータルに関する記述が随所に見られるが、 マイナポータルは情報を閲覧するための機能であり、それぞれの情報はそれぞれのレポジトリが有している。
例えば、 p2 には 「マイナポータルの場合、 過去3年分の薬剤情報の閲覧 取得が可能でああるが、」と記載されているが、正確には 「マイナポータルを利用すれば、 過去3年分の薬剤情報の閲覧 取得が可能であるが、」 と考えられる。
本ガイドラインは、電子版お薬手帳の運営事業者等が実現すべきシステム要件等にも言及していることから、できるだけ正確な記述が必要と考える。

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