ヒュー・ジャックマンが一風変わったダンスを披露 自身が振り付け 「The Son/息子」本編映像

3月17日より劇場公開される、ヒュー・ジャックマンが主演する、「ファーザー」のフロリアン・ゼレール監督最新作「The Son/息子」から、ヒュー・ジャックマン、ヴァネッサ・カービー、ゼン・マクグラスによるダンスシーンの一部が公開された。

学校で行われるダンスパーティーに、「踊れない」から行かないと尻込みしているニコラス(ゼン・マクグラス)。そんなニコラスを見かねたピーター(ヒュー・ジャックマン)は、べス(ヴァネッサ・カービー)に踊りを教えてあげてほしいと頼む。べスは、トム・ジョーンズの「よくあることさ(It's Not Unusual)」を流し、ピーターに踊るように促す。一度は断るピーターだったが、やがて一風変わったダンスを披露し、気づけば三人で曲にあわせて踊り始める。だが、次第にニコラスはダンスから離脱し、何か思いつめた表情を浮かべるのだった。

このシーンについてフロリアン・ゼレール監督は、「もともと、このシーンは見ていて恥ずかしくなるような踊りでなくてはいけなかった」と話している。ヒュー・ジャックマン自身が自分の娘にダンスを見せて意見をもらいながら、本シーンの振り付けを何パターンか考えたのだという。

「The Son/息子」は、親と子の”心の距離”を描いたヒューマンドラマ。優秀な弁護士のピーターは新たな家族と幸せな日々を送っていた。そんな時に、前妻と暮らしていた17歳の息子ニコラスが、ピーターのもとに引っ越したいと訴える。ニコラスは心に病を抱え、絶望の淵にいたのだった。ピーターは息子を受け入れ、生活を始める。監督・脚本は、「ファーザー」のフロリアン・ゼレール。自身の戯曲を原作にした、「ファーザー」に続く家族三部作の第二部となる。主演・製作総指揮のヒュー・ジャックマンをはじめ、ローラ・ダーン、アンソニー・ホプキンスらが出演している。

本作を一足先に鑑賞した著名人によるコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■東ちづる(俳優)
自分の人生や将来が不安でしかないのにうまく言葉にできない10代後半だった。
あの時「わかってほしい!」と親に切望していたらもっと辛かっただろう。
親子だからこその、決して他人事ではない、親子だけでは解決できないストーリー。
ではどうすれば?がつまっている作品。
息子のパパもその父親の息子である。The Son.

■伊藤さとり(映画パーソナリティ)
人を知るとは
全身で相手を見つめ感じ取ること。
それを疑似体験できる本作は
見えない傷に苦しむ人を
抱きしめようとする愛が溢れていた。

■樺沢紫苑(精神科医)
子育ては、苦しい。
だから成長する。
親も子供も。

■香山リカ(精神科医)
人は、心に抱えた重荷をいつどうやって誰の前で降ろすのがよいのか。
診察室で出会った人たちの顔が目に浮かび、胸が詰まった。

■斎藤 環(精神科医)
思春期の震える心と戸惑う大人の心情が、このうえなく繊細に描かれている。
ニコラスはなぜ父親と同居したのか。ピーターはなぜ父親に会ったのか。
そこには「主観的」な答えしかない。本作の感想を主観的に語りあうことは、素晴らしい対話の機会になるだろう。

■SYO(物書き)
人生を変えた父、変えられた息子。
ふたりの再会は贖いか、復讐か…。

型通りの再生を拒む禁断の家族劇。
家中に潜む不穏の陰に、呑まれる。

■竹田ダニエル(ライター)
世代を超えたトラウマを引き継いでしまわないために、大人として、そして社会として、メンタルヘルスと真剣に向き合わなければならない時が来ている。そう実感させられる作品だ。話を聞いてくれず、親や社会が押し付けてくる重圧に耐えられない若者が抱える「漠然とした不安と悲しみ」に理由を求める大人。ただありのまま受け入れて愛して欲しいだけ、そんな誰もが一度は抱えたであろう切実な感情。その葛藤と、我々自身がどう向き合ったらいいのか、他者の苦悩を「有害なポジティビティ」で掻き消してしまっていないか。競争と期待が渦巻く社会で生きる個人として、大人の自己都合によって振り回される若者の悲痛な叫び、そして誰もがなりうる鬱や不安症などを、無視し続けるわけにはいかない。

■Tomy(精神科医)
ここで語られる物語は、決して特殊なものではない。
きっと私たちの知らないところでもこうした愛と絆の物語が数多くあるはず。しかし、「見ていない」だけなのです。
それらを精緻なデッサンで見せられているようでした。決して忘れてはいけない人々の思いを。

■名越康文(精神科医)
人は言葉では抱え切れない思いを抱えて生きている。それは自身で理解することも、表現することすら容易ではない。
しかしその膨大な闇にアクセスできなければ、本来人は前には進む事は出来ない。
この映画は、現代における最大の欠落を描いている。

■藤野智哉(精神科医)
誰にでも起こりうるのに、誰もが見ないようにしている痛みが生々しく描き出されている。
心の病は自身に関係ないと思っている人にこそ見て、感じて、考えるきっかけにして欲しい作品です。

■堀越英美(文筆家・翻訳家)
親のようなマッチョにはなるまいと思っていたのに、我が子を前にすると、努力と成功の神話にとらわれている自分に気づく。
この映画の父と息子のやりとりは、自分が欲しかった親になることの難しさを私たちに教えてくれる。

■茂木健一郎(脳科学者)
人と人との関係の難しさ、かけがえのなさを繊細なタッチで描き、深く心に響く作品。道が分かれる時、人は何を拠り所にするのか。あったかもしれない「もうひとつの世界」を想うことが、「今、ここ」の人生を輝かせる。

■山路和弘(俳優/声優)
人と人が心を語り合う時、様々な感情が邪魔をし、素直になれない。親子であれば尚更。
余り良い親ではない私にとって、このstoryは余りに胸が苦しかった。
そして、この絶妙な配役。もう助けてくれ。

■若村麻由美(俳優/原作戯曲「Le Fils 息子」出演)
愛では救えない現実!ゼレール家族三部作に共通する受け入れ難い哀しみ。
日本公演に出演した者としては、映画版ならではの描写、幼い息子との幸せな回想と、厳格な父との回想に涙が溢れた。父もまた「The Son」だと気付かされた。

■和田秀樹(精神科医)
思春期の子供を抱える親にとって、思うようにいかないことで悩むのは日常茶飯事だ。
愛情あふれる親がついやってしまうやってはいけない日常行為を淡々と描きながら、子供を信じることの大切さを教えてくれる教訓的ヒューマンドラマである。

【作品情報】
The Son/息子
2023年3月17日(金) TOHOシネマズ シャンテほか 全国ロードショー
配給:キノフィルムズ
© THE SON FILMS LIMITED AND CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2022 ALL RIGHTS RESERVED.

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