菅井八段「叡王」初挑戦決める 藤井五冠と5番勝負へ意気込む

叡王挑戦を決め、感想戦で対局を振り返る菅井八段(左)。右は永瀬王座=東京都渋谷区

 将棋の藤井聡太叡王(20)=竜王、王位、王将、棋聖との五冠=への挑戦権を懸けた第8期叡王戦挑戦者決定戦は16日、東京都内で行われ、後手の菅井竜也八段(30)=岡山市=が132手で永瀬拓矢王座(30)を下し、叡王初挑戦を決めた。菅井八段が八大タイトル戦に臨むのは、2018年の王位戦以来5年ぶり3度目。藤井叡王との5番勝負は4月11日に東京・千代田区の神田明神である第1局で開幕する。

 菅井八段はゴキゲン中飛車を選択し、対振り飛車の「超速3七銀」戦法で応じた永瀬王座と終盤まで一進一退の攻防を展開。96手目に、持ち駒の桂を相手玉近くの9六の位置に放ったのをきっかけに攻勢に出ると、その後は正確な指し回しで差を広げ、押し切った。

 両者は叡王戦では19年の挑戦者決定戦でも対局。当時は3番勝負で、菅井八段は1勝2敗で惜敗しており、雪辱を果たした形だ。

 終局後、菅井八段は「今日も負けてしまうと、自分の棋士人生は相当きつくなると思い、気合が入っていた。(藤井叡王との対局へ)今の最強の棋士に振り飛車で十分に勝負できるところを見せたい」と話した。

 菅井八段は2017年に王位初挑戦で戴冠、岡山県出身者で34年ぶりのタイトルホルダーとなった。今期叡王戦は八段戦トーナメントから順当に勝ち上がり、本戦トーナメントでは佐藤天彦九段(35)らを退け、挑戦者決定戦に駒を進めた。

叡王初挑戦を決め、笑顔で取材に応じる菅井八段

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