
【パリ共同】フランスのボルヌ首相は16日、国民議会(下院)の本会議で、年金の支給開始年齢を現在の62歳から64歳に引き上げることを柱とした年金制度改革の法案について、与党が少数の下院で確実に可決される見通しが立たないため、憲法の規定により採決なしで強制的に採択する措置を実行した。
年金改革に理解を示す共和党が第1党の上院は16日、下院の審議に先立ち法案を賛成多数で可決し、下院で採択できるかどうかが焦点となっていた。一方、国鉄労組などが7日から続けるストは10日目に入った。ストやデモの動員数は減っているが、世論の反対は弱まっておらず、強い反発は確実だ。
フランスのメディアによると、大統領府当局者は15日夜、マクロン大統領は強制採択ではなく採決を望んでいると明らかにしていた。政府や与党は16日もぎりぎりまで共和党議員らに対して多数派工作を続けたが、否決の危険性を解消するには至らず、マクロン氏が強制採択を決断した。