「おかえり」国際クルーズ船 観光“復活”に期待と決意 長崎、佐世保に3年ぶり

大浦天主堂下の店で角煮まんじゅうを試食する国際クルーズ船の乗客=長崎市南山手町

 おかえり-。長崎、佐世保両港に16日、3年ぶりに国際クルーズ船が戻った。新型コロナウイルス禍前は国内有数の寄港地だった本県。関係者からは、冷え込んだ観光消費の“本格復活”に期待や決意の声が聞かれた。

 午前8時、長崎港松が枝岸壁に客船が近づくと、和太鼓チーム「西方小天鼓(さいほうこてんぐ)」の勇壮な演奏が出迎えた。ターミナルビルでは、コロナ禍になるまで手芸の人形などを上陸客に販売していた古田ミエ子さん(77)と黒木和子さん(79)が久しぶりに商品を並べ、「何だか元気が出てくる」とうれしそうに船を見上げた。
 下船した乗客は貸し切りバスや徒歩で観光地へ。大浦天主堂やグラバー園がある南山手地区では、店先で試食をしたり、記念写真を撮ったりする姿が見られた。カステラを売っていた女性スタッフ(61)は「通りがにぎわい、長崎全体が活気づいてくれれば」と笑顔。別のカステラ販売「清風堂」の今田健介店長(47)は、コロナ禍を経て訪日客のニーズがどう変化したかを見極め中としつつ「新たな形での再出発の第一歩」と意気込んだ。
 長崎国際観光コンベンション協会の豊饒英之DMO推進本部長は「クルーズ船は長崎の街並みの一つ。観光が本格的に復活する象徴になる」と期待。「事業者と連携してインバウンドの受け入れ環境を確認し、磨き上げる」と気を引き締めた。

佐世保港の三浦岸壁に接岸するノーティカ=16日午前7時40分、佐世保市の弓張岳展望台から

 佐世保港では午前7時半ごろ客船が接岸し、佐世保市消防音楽隊の演奏がもてなした。同港国際ターミナルのセレモニーには朝長則男市長も駆け付けた。佐世保観光コンベンション協会の飯田満治理事長は取材に「受け入れ体制を再構築し、東京、大阪などとは違った魅力を発信する必要がある。コロナ対策と並行して、経済効果につなげたい」と話した。
 乗客のカナダ人、マドレーヌ・デ・ラ・シェポリティエスさん(86)は「街のきれいな雰囲気がいい」と買い物に繰り出した。岸壁付近を妻と散歩していた同市大岳台町の金子正良さん(84)は「外国船が泊まっていてうれしくなった。コロナ禍前の日常が戻ってきた」と歓迎した。


© 株式会社長崎新聞社