松岡茉優「これは沖縄の問題ではなくて日本の問題です」

ドラマ「アンナチュラル」(2018)、「フェイクニュース」(2018)、「MIU404」(2020)、映画『罪の声』(2020)等、社会派エンターテインメント作品を数多く手がける脚本家・野木亜紀子、待望の新作オリジナルドラマ「連続ドラマW フェンス」がWOWOWにて3月19日(日)午後10時より放送・配信スタートする。

今回、野木が描くのは2022年に本土復帰50年を迎え、今も世界最大規模の米軍基地を抱える沖縄の現在。W主演を務めるのは映画『勝手にふるえてろ』(2017)で日本アカデミー賞優秀主演女優賞、『万引き家族』(2018)で同賞の優秀助演女優賞を獲得するなど、確かな演技力で圧倒的な存在感を放つ、WOWOW初主演の松岡茉優と、アフリカ系アメリカにルーツを持ち、2015年にミックスとして初めてミス・ユニバース日本代表に選出され、差別や偏見を無くすための活動を続けるWOWOW初登場にして初主演の宮本エリアナ。
本日W主演の松岡茉優、宮本エリアナ、そして脚本を手掛けた野木亜紀子の3名が登壇し、完成披露試写会を行った。

雑誌ライターの”キー”こと小松綺絵役の松岡。暴行事件の真相を追っていく中で、沖縄の実情も目の当たりにしていく役どころだ。「このドラマは昨年沖縄をメインに撮影をしました。台本に書かれていることも、その場所で撮っているということも、心と体で感じながら一つ一つ丁寧に撮影しました。みんなで一生懸命撮った作品なので、真っ直ぐに届けばいいと思います」と完成に胸を張って挨拶。オファーを引き受けた際には「勇気がいるけれど、私はもう大人だし責任を持って向き合って、今回の題材をエンターテインメントとして届ける責任があると思った」と覚悟を口にしていた。

沖縄で生まれ育ったブラックミックスの大嶺桜役の宮本は、アフリカ系アメリカにルーツを持ち、2015年にミックスとして初めてミス・ユニバース日本代表に選出された経歴を持つ。オーディションで初主演という大役を掴んだ宮本は「不安だらけでしたが松岡さんに引っ張って頂いて、撮影期間の約2か月ずっと一緒にいたということもあり、胸がジーンとするような経験をさせてもらいました。また野木さんがブラックミックスの子を使いたいと言ってくださったこともとても嬉しかったです」と抜擢に喜色満面だった。

宮本はドラマ撮影も初体験ゆえに「灰皿とか投げられるのかと思った。それくらい不安だった」と笑わせると、オーディションに同席した松岡は宮本との初対面の印象について「エリアナさんの真っ直ぐな瞳と心に打ち抜かれた。その真っすぐさと大嶺桜との共鳴を私は見たいと思った」と絶賛。すると宮本は「最初に松岡さんは『大丈夫よ!私は受け止めるからね!』と言ってくださって、同い年なのに凄い!と感動した」と松岡の懐の広さを明かして、当の松岡を「そんなこと私言った!?こわっ!?私物凄く熱意のある人みたいじゃん!」と赤面させていた。

沖縄ロケについて松岡は「市場で買い物をする場面では地元の方々も協力してくれて、そこでエリアナさんが現地のおばあたちと方言確認をしているのが印象的でした」と振り返ると、宮本も「カメラが回っていないところで私にフルーツをくれたりして、とても温かい現場でした」と地元民の優しい人柄に感謝していた。

100人以上の関係者に取材して脚本を書き上げた野木は、本作を女性2人のバディものにした理由について「性的暴行事件を追う内容なので、主人公を男性にしたら説明しなければいけないこともある。それだと話がなかなか前に進まない。それに加えて色々な世代の女性たちが出てくることを目指した結果、女性の物語になった」と解説。松岡については「実在感を持って綺絵がそこにいるのが見えた。毎話心を持っていかれるところがあった」と絶賛し、松岡は「あ、汗が…」と恐縮しきり。また宮本についても「オーディションの際はミス・ユニバースで身に着いた動きがエレガントだったけれど、劇中ではずっと沖縄にいる桜にしか見えなかった。初めてとは思えないくらいナチュラルな芝居をしてくれた」と激賞し、当の宮本は「確かに最初の方は姿勢が美しすぎると監督から注意されました」と照れ笑いだった。

そんな宮本に対して松岡は「今まで言い忘れていたけれど…エリアナさん女優デビューおめでとうございます!」と祝福すると、客席からも拍手喝采。松岡から「エリアナさんのデビュー作に携われたこと、それが野木さんの台本というのも嬉しい」と言われた宮本は「ありがとうございます!今日は美味しいビールが飲めそうです」と大喜びだった。

さらに松岡は、宮本が「大根役者だと思われたらどうしよう…」と不安を口にすると、「お芝居って心が真っすぐで素直だから出来るものもある。セリフを覚えて出すのが俳優の仕事だけれど、彼女の心根の真っ直ぐさと信じる素直さを見て『お芝居って上手い下手じゃねえなあ(笑)』と改めて思うきっかけになったので、自分で大根役者とかいうのは本当にやめなさい!」と先輩として指導。宮本を恐縮&大爆笑させていた。

最後に松岡は「劇中に“これは沖縄の問題ではなくて日本の問題です”というセリフがあるけれど、この作品を通して、ほかの人の問題として捉えるのではなく自分事として捉えて生活することの大切さを知りました。沖縄が背負っている問題であって、沖縄の問題ではない。これは日本の問題。そのように自分事に捉えるきっかけになってもらえたら嬉しい」とアピール。宮本は「日本人とは何か?愛とは何か?自分の気持ちを再確認できるはず。色々な視点で何度も観てほしいドラマになりました」と呼び掛け、野木も「女性の物語だけではなくて、男性たちが抱えている苦しさや心の重荷も徐々に描かれていくので、男性の方々にも観ていただきたいです」と期待を込めていた。

雑誌ライターのキーこと小松綺絵(松岡茉優)は、米兵による性的暴行事件の被害を訴えるブラックミックスの女性・大嶺桜(宮本エリアナ)を取材するために沖縄へ向かう。桜の供述には不審な点があり、事件の背景を探る必要があったのだ。米軍基地の門前町・通称コザを訪ね、桜の経営するカフェバーMOAIへ行き、観光客を装って接近。桜の祖母・大嶺ヨシ(吉田妙子)が沖縄戦体験者で平和運動に参加していることや、父親が米軍人であることを聞く。一方でキーは、都内のキャバクラで働いていた頃の客だった沖縄県警の警察官・伊佐兼史(青木崇高)に会い、米軍犯罪捜査の厳しい現実を知る。やがて、沖縄の複雑な事情が絡み合った“ある真相”にたどり着く。キーが見つけた事件の真相とは?
3月19日(日)午後10時 放送・配信スタート[全5話]
放送:毎週日曜 午後10時【第1話無料放送】

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