フェラーリ499Pでの歴史的ポール獲得に驚くアントニオ・フォコ「路面温度がカギになった」

 3月16日に行われたWEC世界耐久選手権第1戦の予選でポールポジションを獲得したアントニオ・フォコは、デビュー戦のフェラーリ499Pが予選最速となったことに驚きを示し、フェラーリが「すごいことを成し遂げた」と語った。

 ミゲル・モリーナ、ニクラス・ニールセンとともにフェラーリAFコルセの50号車フェラーリ499PをドライブしてWECハイパーカークラスに参戦するフォコは、16日夕方にアメリカ・フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで行われた予選でアタックを担当。それまで3回のフリープラクティスすべてで最速だったトヨタGR010ハイブリッドの2台を抑える最速タイムを記録し、ポールポジションを奪った。

 フェラーリにとっては、50年ぶりに開発されたワークス・プロトタイプカーでル・マン24時間に復帰するという、記念すべき年。そのシリーズに投入されるフェラーリ499Pにとってはもちろんのこと、フェラーリにとってもWECのトップカテゴリーにおける初めてのポールポジションとなった。

「正直なところ、ちょっと驚いている」とフォコは語った。

「僕らはすごいことを成し遂げ、それは誇るべきことだと思うからだ」

「明日は長いレースになることも分かっているので、気持ちを切り替えて、明日のレースのことを考えなければならない。かなり長いレースになるし、気温もかなり高く、特にタイヤのデグラデーションが気になる」

「僕らはいいポジションにいるし、僕とチームメイトは確実にベストを尽くすつもりだよ」

 フェラーリの予選での逆転劇は、プラクティスに比べて大幅にタイムアップしたことが要因だった。予選前まで、フォコのベストタイムはFP3での1分46秒777。予選ではこれを1秒半以上縮め、1分45秒067をマークしている。

 このタイムアップについてフォコは「(予選では)路面温度がかなり下がっていたので、それがカギになったと思う」と語った。

「路面温度が下がれば、路面が(グリップが増し)速くなるのは間違いない。だから、路面状況に合わせてかなり改善できたと思う」

 だがフォコは、プラクティス中のトラフィックが、マシンの本来のペースを覆い隠している可能性があると指摘した。

「今朝も試したが、フリー走行では他のクルマと一緒なので、クリアラップを確保するのが難しいんだ」

「予選では状況が違うから、すべてをまとめて、ポテンシャルを発揮できたと思う」

 金曜日の1000マイル(8時間)レースに向けては、フェラーリはタイヤマネジメントに関して理解を深めている最中であるとフォコは言う。

「さっきも言ったけど、本当に暑いコンディションになるので、タイヤをどのようにマネージするかを考える必要があると思う」と彼は指摘した。

「チームは、僕らが何ができるかを理解するためにいくつかの作業を行っており、僕らはベストを尽くそうとしている」

「このコースは、クルマにとっても信頼性などの面でかなりやっかいなことも知っている。だから僕らにとっては、レースを終えて多くのデータを収集することがとても重要で、もし最後までそこに残ることができるなら、できる限り多くのポイントを獲得しようと思っている」

「本当に暑いコンディションでスタートし、夜まで走ることで、路面は再び何らかの影響を及ぼすだろうね」

「だから、レース序盤からタイヤのマネージメントを理解し、それをレース終盤までキープする必要があると思う。タイヤには限りがあるから、どこかでダブルスティントも必要だ。それが現時点でのカギになることは間違いない」

WEC第1戦セブリングの予選ポールポジションを獲得した50号車フェラーリ499P

 フォコはまた、予選では太陽が低い位置にあったため、ドライバーにとって厳しい状況であったとし、ウルマンストレートと、それに続く最終コーナー“サンセット・ベンド”をアタックラップで通過する際に、視界が大きく損なわれたことを示唆した。

「最終コーナーでは、正直に言うと、ただ(マシンを)走らせただけだった」とフォコ。

「とてもタフな状況だったけど、フリープラクティスで得た情報をもとに、太陽がバイザーに当たってコーナーが見えにくくなっている状態のまま、ただひたすらに走ったんだ」

「バンプに当たる瞬間も大変だったけど、最終的にはうまくいったよ」

 さらに彼は、そのポールラップがもっと速くなる可能性があったことも示唆している。

「(ベストラップとなった周は)いいラップだったという感触はあった。いくつかのコーナーで小さなミスをしてしまったんだけど、全体的にはうまくいったと思う」

「2周目はもっと良くしようと思っていたが、そうはならなかったから、そのままペースを落としてピットに戻ったんだ」

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