GAORA、Magewellの「Ultra Encode SDI」「Pro Convert for NDI to HDMI」導入。迫力のプロレス映像の撮影可能に

株式会社GAORAは、映像ソースをIP伝送できるMagewellのライブエンコーダ製品「Ultra Encode SDI」と「NDI コンバータ(デコーダ)Pro Convert for NDI to HDMI」をプロレスの撮影現場に導入した。

今まで撮影現場では撮影中にケーブル類をまとめるカメラアシスタントが必要だったが、Magewell製品を導入した結果、カメラマン1人での撮影ができるようになったという。カメラマンがケーブルによる動きの制限から開放され、プロレスの試合をより近く、よりダイナミックに、迫力ある映像の撮影が可能になった。

課題:ケーブルにより動きが制限されるカメラマン

プロレスの試合をより近くで撮影して、迫力と臨場感のあるコンテンツにしたいと思っても、カメラに繋がれたビデオケーブルと、それを捌くカメラアシスタントによってカメラマンの動きはどうしても制限されてしまう。それだけでなく、リングに近づいて撮影すると選手がケーブルが引っ掛かり、それが原因で怪我をする恐れもあった。

そのため、プロレスの醍醐味とも言える場外乱闘のときに、カメラマンが選手に近づいて撮影をするというのは非常に困難で、迫力のプロレス中継を届けたくてもできなかったという。

チャレンジ:IP伝送でカメラマンをケーブルから開放

カメラマンの動きを自由にして、より近くでプロレスの試合を撮影し、よりダイナミックな映像を視聴者に届けたいという思いからこの挑戦が始まった。

ケーブルを減らし、アシスタントがいなくてもカメラマン1人で撮影できるようにする必要があったため、カメラの信号をWi-Fi経由でIP伝送することを考えた。Wi-Fiという限られた帯域幅の中で低遅延かつ高画質に伝送しなくてはならず、予算も限られているため、簡単な挑戦ではなかったという。

  • カメラ周辺のケーブルを減らす
  • Wi-Fi で低遅延かつ高画質なIP伝送
  • 限られた予算内での環境構築

解決策は? Wi-Fi経由のAV over IPソリューション

まず既存設備とのSDI接続が可能であること、そしてライブのスポーツ中継に耐えられる画質と低遅延が必要だった。この要件を満たし、さらにメッシュWi-Fiのバックホール伝送帯域が40MHzという環境の中で実現させるため、低遅延でビットレートを抑えつつも高画質なNDI|HXプロトコルを使うことにしたという。

そして、NDI|HXに対応するエンコーダとしてMagewell社の製品「Ultra Encode SDI」に辿り着いた。H.265(HEVC)1080Pの高画質映像と音声を帯域13Mbpsで伝送可能、Wi-Fiも搭載され、予算内に収まる価格であったことから導入を決めたとしている。

機器構成としては、Wi-Fi APとUltra Encode SDI、電源バッテリーをバックパックに入れている。熱対策が必要になるが、Ultra Encode SDIは比較的熱に強く、加えてファンを取り付けることで問題の発生を抑えている。

カメラからIP経由で伝送されてくる映像は、同じくMagewell社のPro Convert for NDI to HDMIによってHDMI信号に変換され、スイッチャー(ATEM Mini Extreme)に入力される。

自由になったカメラマンによる臨場感あるプロレス中継を視聴者へ

SDIケーブルを削減できたことによって、身軽になったカメラマンがプロレスの試合をより近くで撮影できるようになり、ダイナミックな映像を視聴者に届けられるようになった。選手がケーブルに引っかかるリスクもなくなり、選手も動きやすくなったという。

Ultra Encode SDIのデバイス自体も軽く、カメラマンの負担も減らすことに成功した。他にもワークフローをIP伝送に変えたことによるメリットとして、接続作業に必要となるケーブルの本数が減ったことで、現場のワークフローがシンプルになってセッティング作業の時間が短縮された。規模にもよるが、以前は準備に半日費やしていたのが、今では1時間~数時間程度で完了するという。

現在は平均約3時間半ほどの運用だが、より長い稼働時間でも問題がなければ幅広く活用できるのではないかとしている。

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