原爆資料館の展示更新 専門家の視点加え検討 長崎市方針を示す

 被爆者や有識者らでつくる長崎原爆資料館運営審議会(舩山忠弘会長)の本年度第2回会合が17日、長崎市平野町の同館であった。市は被爆80周年記念事業で2025年度に行う展示内容の更新に向け、審議会に博物館学や平和教育などに詳しい委員を加え、専門的な視点で展示の在り方を検討する方針を示した。
 開館27年目を迎えるが、来館者のニーズや核情勢の変化、歴史認識の相違などを踏まえた更新の必要性が指摘されている。市は同審議会の意見も反映し、新たな展示方針などをまとめた基本計画を23年度中に策定する。23年6月に新たに委嘱する審議会委員(任期2年)には専門家を増やし、こうした委員らで設立した小委員会で議論を深めるという。
 市は更新理由に「時代の変化」を挙げるが、被爆者の田中重光委員(82)は、広島市教委が平和教育教材から漫画「はだしのゲン」や、水爆実験で被ばくした漁船「第五福竜丸」の記載を外す問題に言及。「時代にそぐわなくても(安易に削除せず)今の子どもにきちんと説明し理解を得ることが必要」と述べ、資料館の展示についても慎重な議論を求めた。

© 株式会社長崎新聞社