【ファクトチェック】沖縄は「米国の信託統治下にあった」 国が裁判書面で誤記載 嘉手納・普天間爆音訴訟

 米軍嘉手納基地と普天間飛行場による騒音被害などを受けている周辺住民30人が、米軍機の飛行差し止めを米国に求める地位にあることの確認などを国に求める行政訴訟で、国側が出した準備書面に「沖縄が米国の信託統治下にあった」などとする誤った記載があることが17日、分かった。原告側は「明白な誤りで、速やかに訂正すべきだ」と求めた。

 国側の準備書面には「昭和27年4月28日から沖縄県の本土復帰前日までは、沖縄県全体が米国を施政権者とする信託統治下にあった」などと記載されている。17日に那覇地裁で開かれた第2回口頭弁論で、原告側代理人が指摘した。

 国連憲章は信託統治制度について、国連の信託を受けた国が旧植民地などの信託統治地域の自治や独立に向けて施政を行うと定める。人権と基本的自由の尊重の奨励についても規定がある。沖縄は信託統治に置かれず、国連の定期視察を受けることもなく、米国は沖縄で米軍基地を拡大した。

 原告側代理人の新垣勉弁護士は、過去にも嘉手納爆音訴訟で同様の誤記があったとして「同じ過ちを繰り返している。県民にとって大切なことで、このような基本的な事実を誤るとは全く理解できない」と述べた。

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