おいしいサイクル 飲食店と農家、生ごみ堆肥でミカン栽培

堆肥を確認する店主の更井亮介さん(左)と日向屋の岡本和宜社長=和歌山県田辺市上芳養で

 和歌山県田辺市上芳養で、レストランが生ごみを堆肥化して地元の農家に提供し、農家はかんきつ類をレストランに出荷する。そんな〝おいしい〟サイクルが生まれようとしている。

 フランス料理店「Caravansarai(キャラバンサライ)」は、野菜くずや魚のがら、かんきつ類の皮などを敷地内に設置した2基のコンポストで堆肥化している。

 同店では毎日500グラム~1キロ程度の生ごみが出る。年間300キロ程度で、コンポストで乾燥・分解すると、80キロほどの堆肥ができる。開店当初2020年3月から取り組みを始め、生ごみの資源化率はほぼ100%という。

 オーナーシェフの更井亮介さん(33)は実家の畑で堆肥を使っていたが、地域の農家と食の循環を生み出したいと、農業会社「日向屋」への提供を決めた。

 日向屋はキャラバンサライにかんきつ類とミカンジュースを出荷している。社長の岡本和宜さん(44)は「この堆肥でおいしいミカンを作り、レストランで味わってもらいたい」と喜んだ。

 更井さんは「飲食店と農家の間で、堆肥と農産物が行き来する循環を定着させたい」と話している。

 キャラバンサライは、持続可能な食文化の取り組みを進めているとして、厳選した飲食店を紹介する「ミシュランガイド」で「グリーンスター」に選ばれている。

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