呂布カルマ、新番組『正解の無いクイズ』レギュラーも決定 タレントパワー急上昇の背景にある3つのポイント

現在のタレントパワーで間違いなく急上昇中の存在となっている、ラッパーの呂布カルマ。2022年から徐々に地上波のテレビ番組への露出が増え、2023年3月1日に『有吉の壁 名古屋の壁を越えろ!2時間SP』(日本テレビ系)に出演した際にはSNSのトレンドにあがり、さらに同日『あちこちオードリー』(テレビ東京系)にも登場。4月3日より新番組『正解の無いクイズ』(テレビ東京)へのレギュラー出演も決まった。

今後、さらに引っ張りだこになるはずの呂布カルマ。それにしてもなぜラッパーの彼がバラエティ番組で活躍できているのか。

■呂布カルマの知識に驚いた「ツバキ」をめぐるラップバトル

その理由のひとつは、知識量の豊富さとそれを繰り出す頭の回転の速さである。呂布のことをそれほど知らない人に向けて、その知識量と回転の速さを証明するものとしてオススメしたいのが、2021年4月10日開催のフリースタイルラップバトル『戦極MCBATTLE 第23章』における、CHEHONとの一戦。

■CHEHON vs 呂布000カルマ/戦極MCBATTLE 第23章(2021.4.10)

呂布のバース「メッキ剥がすつもりが 何枚めくっても下から花を咲かせたら 椿みたいに花を咲かす お前を逆さまにして潰してやるぜ」に対し、「椿の花は咲かない そのかわりお前に唾を吐くんです」と返すCHEHON。「ツバキ」「ツバ」というワードが軸となったことで、呂布は「“ツバキ”吐きかけられたって俺はコロナもなんも怖くねーんだよ 吐いた唾飲むなよ 俺はお前に唾飛ばすような真似はしねえ 唾が飛ぶのは発声の仕方を間違えてるぜ 俺はここマイクにだけ言葉を吐きかける」とアンサー。CHEHONは笑いを抑えきれないといった表情で「“ツバキ”吐きかけられた言うてましたよ、兄さん 唾を吐いてるって俺言うてんねんで 間違ってるやん、もう テンパってもうてますよ兄さん」と呂布の言い間違いの揚げ足をとっていく。観客の誰もが「呂布がミスをした」と思い、CHEHONの勝利を確信した次のバース。呂布は「いや、“唾”って“唾吐き(つばき)”を略して“唾”なんだけど それ知らねえのかな、CHEHON 俺が教えてやるよ 絵本でも分かるような簡単な日本語 これが俺の手本」と見事に返してCHEHONを行き詰まらせた。

呂布の日本語に対するあまりに深すぎる理解力に、観客すらもそのバースが正しいのかどうか判断できず、それほどアガらなかったのが逆にすごさをあらわしている。実際、このバトルを鑑賞した観客や動画視聴者は、呂布の言っていることが正確なのかどうかを後に調べて「本当だ」と驚き、知識量の豊富さに敬服した。

呂布の魅力はそういう知識を瞬時に繰り出せるスピード感である。しかもこの「ツバキ」と「ツバ」をめぐるバースは偶然そうなったのではなく、撒き餌を仕掛けたようにも思える。CHEHONが「“ツバキ”吐きかけられたって言っていましたよ」「唾を吐いてると言った」と返してくるのを見越し、相手がまんまと乗っかってきたところを狙い澄ましてアンサーする。こうなると相手は歯が立たない。

バラエティ番組には、たくさんのお笑い芸人らが共演者として揃っている。そこでは咄嗟のツッコミやボケに反応する必要がある。だが呂布は、知識が豊富で頭の回転も速いからこそ瞬時に対応できる。それが現在、彼がバラエティ番組で重宝されている理由ではないか。

■呂布カルマ史に残る傑作バース「魔法陣完成」

ふたつめは、優れた状況判断からくるその場の制圧力だ。呂布はバラエティ番組でも抜群の存在感を放っており、決して“モブキャラ化”することがない。それは彼の制圧力が影響しているのではないか。

象徴的なのが、フリースタイルバトル『凱旋MCbattle 東西選抜冬ノ陣2020』におけるMU-TONとの決勝戦。緊密な攻防が展開されるなか、MU-TONは、呂布が持ち物の財布、ジャケット、木の棒をステージの四隅に置いているところに着目。「あれ? 財布とこれ、ジャケット、忘れちゃって呂布さん 緊張してるんスかねえ 俺が持ち帰るのは勝利、こいつが持って帰るのは甲子園の土だ」と熱く煽る。MU-TONは、呂布が無防備に持ち物を置いているところを「しめた」と考えたのだろう。すると呂布は「そこに財布 そこにジャケット」と指をさしていき、四隅の残りの一角にトレードマークのサングラスを置いて「魔法陣完成 完璧だぜ、俺の描いた手のひらの上で踊ってら お前ら見てみ? これがファンタスティックマジックヒップホップラップ お前の心に刻むぜ」と、もはやどこからどこまでが計算なのか分からない、即興と呼ぶにはあまりにも強烈すぎるアンサーをしてみせた。

「魔法陣完成」のときの観客のテンションのあがりようは、動画上だけでも鳥肌が立つ。もし会場でそんなバースを目撃したら、何年、いや、何十年先も脳裏に焼き付いて離れないだろう。誰もが呂布の虜になった名勝負。彼の場の制圧力がなせるものだった。

呂布カルマはどこにいても主役になれる。その強烈なカリスマ性がバラエティでも存分に発揮されている。

■R-指定との伝説バトル、絵になる降参劇

最後に、どんなことがあっても絵になるところを忘れてはならない。見た目はコワモテ、しかもラップが異常に強くてうまい。かつて、ラップバトルではタブーとされているボディタッチを食らったとき、相手の胸ぐらをつかんだこともある。

そんな“帝王感”たっぷりの呂布でもバトルでタジタジになったことがある。その「負けっぷり」で脚光を浴びたのが、ラップバトル番組『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)2017年4月18日放送回におけるR-指定との因縁のバトル。R-指定の圧倒的なワードセンスを食らい、どんどんプレッシャーをかけられていった呂布は、「もう全然いいわ、言うことねぇわ やっぱこいつ強ぇわ、もうダメだ 強い……」とまさかの降参。前代未聞ともいえる白旗バースに会場が騒然となり、その戦いは伝説化した。ただ、呂布の気持ち良いほどの負け方は逆に絵になるものだった。

街ロケ番組『相席食堂』(ABC)2021年9月21日放送回のまさかの“ポンコツ”ぶりもとてもおもしろかった。ラップ王者として出演し、MCの千鳥も「どれだけ口が達者なのか」と期待を膨らませていたところ、たどたどしいコメントを連発。ラッパーでロケに不慣れなのでそれは仕方ない……と思いきや、得意の即興ラップを披露する場面でもスムーズにバースが出てこなかった。呂布を知るものからすればそのギャップがチャーミングに映り、知らない人もパッと見の“帝王感”とはかけ離れた“ポンコツさ”に逆にひきつけられたのではないか。

絵になる“ポンコツ”ぶりが「神回」として好評をあつめ、同年11月30日放送回で2度目の番組出演も果たした。ある意味、そこで見せた人間味がその後のバラエティ進出に一役買ったのではないだろうか。

ほかにも、生配信でのリスナーとのやりとり、ディベート番組『マッドマックスTV論破王』(ABEMA)でのひろゆきこと西村博之との名勝負の数々。いずれも「呂布」のテレビスターとしての才能を垣間見ることができる。もしかすると今後、呂布カルマの地上波冠番組もあるのではないか。そう思わせるほどの活躍である。(田辺ユウキ)

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