トヨタ自動車佐藤恒治次期社長、4月の就任以降も「変わることなく現場に立ち続けたい」

 3月18日、トヨタ自動車は三重県の鈴鹿サーキットで開催されるENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Powered by Hankook第1戦『SUZUKA S耐』の会場内で記者会見を行ったが、出席したトヨタ自動車佐藤恒治執行役員は、4月以降もサーキットを訪れたい意向を示した。

 4月1日からトヨタ自動車の新社長に就任する佐藤執行役員は、2月28日まではトヨタのチーフ・ブランディング・オフィサー、レクサス・インターナショナルのプレジデントとともに、GAZOO Racingカンパニーのプレジデントを務めていた人物だ。

 GRカンパニーのプレジデントはTOYOTA GAZOO Racingのモータースポーツ活動を統括する立場であり、スーパー耐久はもちろん、TGRとして参戦するWRC世界ラリー選手権やWEC世界耐久選手権、スーパーGTやスーパーフォーミュラなど、シーズン中はあちこちのサーキットに顔を出す多忙な日々を送っていた。

 そんな佐藤執行役員は、この日行われた記者会見のなかで行われた質疑応答の際に、4月の社長就任以降に対しての質問に「ある意味モータースポーツのあり方が自動車産業において本当に変わってきていると思っています。(モータースポーツは)未来に向けた技術開発の現場であり、“意志ある挑戦”への仲間づくりの場だと思っています」と語った。

 スーパー耐久では、ST-Qクラスに参戦するTOYOTA GAZOO Racingを中心に、スバルやマツダ、さらにホンダといったメーカーたちが意見交換会を行うなどコミュニケーションをとっており、これまでモータースポーツに直接携わってきていなかったメーカーの技術者たちも、スーパー耐久参戦を通じ、サーキットでの出会いから多くの発見があるという声も聞かれている。

 佐藤執行役員は「実は、レースの裏側では自動車産業の各社とのコミュニケーションがかなり円滑に行われておりまして、いわゆる会議室で話すのではない、フランクな雰囲気のなかで業界連携への話ができています」とレース参戦を通じて自動車業界全体の意思疎通ができはじめていると明かした。

「また、カーボンニュートラルに向けた取り組みについても、トヨタ一社でやれることではありません。各社それぞれにさまざまな挑戦が続いていますが、そういった取り組みをみんなでやっていく現場でもあると思っています」

 そして、現社長の豊田章男社長が自らステアリングを握りスーパー耐久に挑戦し、さらにさまざまなラリーやレースの現場に訪れ『モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり』を体現しているように、佐藤執行役員は「4月以降も変わることなく現場に立ち続け、クルマを作り続けるリーダーでありたいと思っています」とモータースポーツの現場を訪れたい意志を示した。

 この日の記者会見では、4月からの新社長ということもあり佐藤執行役員への注目度は高かったが、GRカンパニープレジデント時代と変わらぬ落ち着いた様子で、サーキットでさまざまな関係者と交流している様子が見られた。

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