まちぐゎー活性化期待 沖縄県那覇市・牧志新市場 きょうオープン おかえり、県民の台所 困難越え 新たな門出

 沖縄県那覇市松尾に建て替えられた新たな第一牧志公設市場が19日午前10時、オープンする。コロナ禍で打撃を受けた、まちぐゎー(商店街)の活性化や観光復興の起爆剤として、新市場は大きな期待を背負っている。新市場にはイベントに活用できる調理体験室などが新設され、沖縄の食文化を発信する。「県民の台所」として、観光客だけでなく地元客も商店街に呼び戻そうと、市場事業者らは意気込んでいる。

 県内屈指の観光スポットでもある第一牧志公設市場。浸水や火災など、さまざまな困難を乗り越えてきた。生まれ変わる市場の歴史を振り返る。

 第一牧志公設市場の一帯は1947年頃に現在の開南バス停付近を中心に闇市が形成された。48年、那覇市が現在の公設市場の場所に露天商人を集め、50年には廃材で建てたトタン屋根の牧志公設市場が開設した。

 市場のそばを流れるガーブ川の氾濫で、市場はたびたび浸水被害に見舞われた。69年には不審火で大火事が発生、建物が焼失した。72年に建て替えた第一牧志公設市場(旧市場)が完成した。

 市場の観光地化が始まったのは80年代後半から90年代にかけて。1階の店舗で購入した魚や肉を2階で調理する「持ち上げ制度」の導入がきっかけだと言われている。海外からの観光客も徐々に増加。一方、スーパーや大型商業施設の増加も相まって地元の買い物客は激減した。

 老朽化に伴い、2019年に旧市場は閉場し、仮設市場がオープンした。しかし、20年には新型コロナウイルスの影響で市場近くの平和通りなども閑散とする日々が続いた。21年末には、建設地の軟弱地盤が影響し、開業は約1年延期となった。コロナ禍、開業延期など、苦しい局面を経て、待ちに待ったリニューアルオープンの日を迎える。

  (田吹遥子)

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