佐世保の認可保育園で不適切保育 全容不明、改善策示されず

 長崎県佐世保市の認可保育園で昨年12月から今年2月までの間、保育士2人が複数の園児に対し、頭や頬をたたくなどの不適切な保育をしていたことが18日までに分かった。園は事実を認め保護者へ説明し、謝罪。しかし、具体的な改善策は示されておらず、保護者からは怒りや不安の声が噴出。市は園に全容の解明を求めている。
 関係者や園などによると、不適切な保育があったのは1歳児のクラス。2月13日、関係者から市や園に「保育士が子どもをしかり、頭をたたいているのを見た」などと連絡があり、園は調査を開始。保育士への聞き取りや園内に設置したビデオの映像を確認したところ、同月10日に保育士が園児の頭をたたく行為が判明した。
 昨年12月には別の保育士が、別の園児の頬をたたく行為も発生。園は当該保育士を指導したが保護者へは知らせていなかった。今回の調査をきっかけに今月、園児の保護者へ説明し謝罪した。園は「不適切な行為との認識はあったが(保護者への連絡や謝罪といった)対応が遅れてしまった」などと説明するが、保護者は「遅過ぎる」と憤りの声を上げている。
 さらに園が保育士への聞き取りやビデオの映像確認をしたところ、同じ保育士2人が他の園児の頭をたたくなどといった行為が複数判明したという。保育士は園の聞き取りに対し「忙しさから気持ちに余裕がなく、怒るときにやってしまった」などと話しているという。
 今月17日にあった保護者説明会で園は、新たに判明した不適切な保育についても保護者へ説明し謝罪。しかし、出席者によると行為の全容は明らかになっておらず、具体的な改善策も示されなかったという。
 問題の判明後に退園させたり、子どもを園に預けていなかったりする保護者もいる。保護者の1人は「対応があまりにもひどい。もう園には戻さないだろう」と明かす。「どの子に不適切な行為をしたのか分からず、自分の子は大丈夫だろうか」と不安の声も出ているという。
 佐世保市内では、別の認定こども園で不適切な保育をしていた疑いが浮上し、問題になっている。


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