トヨタ ヤリスは2020年2月10日に発売されました。ライバルも多いコンパクトカーですが、ハイブリッドでは燃費が非常に高く、180万円以下の安価なグレードも用意されています。今回はそんなヤリスの価格や内装、スペックやおすすめグレードなどをカーライフ・ジャーナリストの渡辺陽一郎さんが詳しく解説します。
ヤリスのおすすめポイント
・小さなボディで最小回転半径も4.8〜5.1mに収まり運転しやすい
・ハイブリッドXのWLTCモード燃費は36km/Lで、日本車では最良
・ノーマルエンジンのGは装備を充実させて価格は180万円以下
ヤリスのレビュー・評価
総合評価 3.0 ★★★☆☆
5段階採点の解説
外観
適度な引き締まり感が伴って、外観をスポーティに仕上げました。5ナンバーサイズとあって、小回りの利きなどは優れています。
内装
内装の質はコンパクトカーの平均水準です。居住性は、前席は快適ですが、後席は足元空間が少し窮屈に感じます。
走行性能
ボディが比較的軽く、操舵に対する反応の仕方は機敏です。加速性能にも余裕があり、運転感覚がスポーティです。
運転のしやすさ
後方視界は悪いですが、全長は4m以下の5ナンバー車です。最小回転半径も4.8〜5.1mなので、小回りの利きも良好です。
乗り心地
コストを抑えた足まわりなどにより、乗り心地は硬めです。特に14インチタイヤ装着車は、突き上げ感も強く注意が必要です。
価格の割安度/燃費/維持費
機能や装備の割に価格を安く抑えています。中級のGグレードにもLEDヘッドランプがオプション設定され、選びやすく配慮されています。
総合評価の解説
ヤリスに大人4名で乗車すると、後席が狭く、乗り心地も14インチタイヤ装着車を筆頭に硬く感じます。サイドウィンドウの下端を後ろに向けて大きく持ち上げたので、斜め後方と真後ろの視界も良くないです。
ヤリスハイブリッドを欲しいユーザーが、購入時に試乗してこれらの欠点が気になった時は、パワーユニットやプラットフォームを共通化したアクアを検討すると良いです。
アクアも後方視界は悪いですが、後席の居住性と乗り心地は、ヤリスハイブリッドよりも快適です。価格はアクアが高めですが、100V・1500Wの電源コンセントやアルミホイールの装着など、装備を充実させました。
ヤリスのメリットとして、ボディが軽く動力性能が優れ、小回り性能も良いため、機敏な走りの良さを重視するユーザーに適します。
良かった点
・ヤリスハイブリッドは低燃費と低価格を突き詰めた
・価格の安さを重視するなら、直列3気筒1Lエンジン車も選べる
・ボディの軽さを生かして、機敏でスポーティな走りを味わえる
気になった点
・斜め後方と真後ろの視界に不満があり、ボンネットも見にくい
・後席の足元空間が窮屈で、リヤゲートを寝かせたことで荷室も狭め
・乗り心地が硬く感じられ、3気筒エンジンの粗いノイズも耳障り
ヤリスの基本スペック・価格表
ヤリスはトヨタの代表的なコンパクトカーです。日本では2020年に、ヴィッツの後継車種として登場しました。全長は3940mmと短く、全幅も1695mmですから、5ナンバーサイズに収まります。
パワーユニットは、直列3気筒1Lと1.5Lのノーマルエンジン、1.5Lのハイブリッドで、いずれも燃費が優れています。車両重量は、ハイブリッドでも1100kg以下に収まり、動力性能にも余裕があります。
なお3ドアボディのスポーツモデルとして、GRヤリスも用意されています。GRヤリスRZは、1.6Lターボに4WDを組み合わせて、走行性能を大幅に向上させました。
ヤリスのボディサイズ
ヤリスの燃費
ヤリスの発売日と納期の目安
トヨタ ヤリスは2020年2月10日に発売されました。ライバルも多いコンパクトカーですが、ハイブリッドでは燃費が非常に高く、180万円以下の安価なグレードも用意されています。
納期と今後のモデルチェンジ予想
今は納期が遅延しており、トヨタ車では、6か月から1年以上の車種も多いです。しかしヤリスは短めです。販売店では「ノーマルエンジン、ハイブリッドともに、2023年3月中旬時点の契約で納期は5か月程度。少数ですが在庫車もあります」とのことです。
ヤリスの発売は2020年ですから、次期型に一新されるのは2026年以降です。それでもマイナーチェンジや特別仕様車の追加などが行われます。
最近の売れ行き&人気度
2022年の車名別販売ランキングは、ホンダ N-BOXに次ぐ2位(小型/普通車に限れば1位)でした。
ただしこの台数には、コンパクトカーのヤリスだけでなく、SUVのヤリスクロス、スポーティモデルのGRヤリスも含まれます。
コンパクトカーのヤリスに限ると、1か月平均は6900台で、トヨタ ライズを若干下まわりました。それでも人気車の部類に入ります。
ヤリスのリセールバリュー
リセールバリューの5段階採点:3点
ヤリスは設計の古い車種ではなく、数年後の売却時にも不利にはなりません。ただし販売台数が多く、中古車市場に豊富に流通しており、高値で売却することも難しいです。売却時の価値は、コンパクトカーの平均水準です。
ヤリスのおすすめグレード
おすすめグレード:1.5G(179万9000円/2WD)
ハイブリッドの価格は、1.5Lノーマルエンジンに比べて約34万円高いですが、税額の違いにより、実質価格差は約28万円に縮まります。
レギュラーガソリン価格が160円/Lとすれば、約28万円の実質価格差を燃料代の節約で取り戻せるのは、9万km少々を走ったころです。
コンパクトカーの場合、1年間の走行距離が5000km前後のユーザーも多く、損得勘定では1.5Lノーマルエンジンが割安です。
ただし1年間の走行距離が1万kmを超える場合は、ハイブリッドを選ぶ余地も生じます。グレードは両パワーユニットともにGが買い得です。
ライバル車との比較
ヤリスのライバル車は、コンパクトカーの5ナンバー車です。ハイブリッドでは日産 ノートがライバル車です。後席の居住性や乗り心地はノートが快適ですが、走りの軽快感はヤリスが勝ります。
マツダ MAZDA2(マツダ2)もライバル車です。後席が狭く、後方視界が悪いことも、ヤリスとの共通点です。マツダ2では、実用回転域の駆動力を高めた1.5Lクリーンディーゼルターボの搭載に特徴があり、ヤリスはハイブリッドです。
このほかスズキ スイフトは車両重量がヤリス以上に軽く、軽快感でも上まわります。ハイブリッドの低燃費、ノーマルエンジンの動力性能は、ヤリスが優れています。
ホンダ フィットはスイフトと逆に、軽快感は乏しいですが、後席が圧倒的に広く荷室の使い勝手も優れています。乗り心地には重厚感が伴い、ボディが少し大きく感じます。価格の割に上質で買い得です。
ヤリスのカラーバリエーション
ヤリスを販売店で試乗するときのポイント
小回りの利きは良いですが、後方視界が悪いため、縦列駐車や車庫入れを試します。乗り心地も要チェックです。販売店の駐車場から道路に出る時の段差では、突き上げ感を確認します。路面の荒れた街中を時速40km以下で走る時は、細かなデコボコを粗さとして伝えないか、確認しましょう。
このほか登坂路を走った時のノイズ、後席の広さと乗降性、荷室容量、ヤリスのメリットとされる軽快な運転感覚なども確かめます。
【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:小林 岳夫/茂呂 幸正/MOTA編集部】