
【アルビル(イラク北部)、ワシントン共同】米軍主導のイラク戦争開戦から20日で20年。フセイン独裁政権は崩壊したが、イラクでは長期にわたり戦闘やテロが続いた。現在も過激派組織「イスラム国」(IS)の潜伏メンバーらによるテロの脅威が残り、政治や宗派間の対立も深刻。安定にはほど遠い。
戦争を機にイラクでは多数派のイスラム教シーア派が政権を獲得し、シーア派大国の反米イランがイラクや周辺地域に影響力を拡大した。米国は戦争の大義とした大量破壊兵器を発見できずに国際社会での威信が失墜。台頭した中国との競争が最重要課題となり、中東での影響力も低下した。
米軍侵攻後、イラクは少数派のスンニ派とシーア派の衝突から一時、内戦状態に陥り、2014年にはスンニ派のISが北部モスルを掌握。政府が17年にISからの全土解放を宣言した後もテロ事件は国内各地で起きている。
国連は先月公表した報告書で、5千~7千人のISメンバーや支持者がイラクと隣国シリアにいると推定。その半分が戦闘員だとした。