S耐開幕戦でクラッシュを喫した山野哲也、肋骨骨折も脳の精密検査では異常なし。本人から声明届く

 3月19日、三重県の鈴鹿サーキットで行われたENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Powered by Hankook第1戦『SUZUKA S耐』の決勝レースで、大クラッシュを喫し病院に搬送された山野哲也だが、その後の取材で肋骨の骨折はあるものの、追加で行った精密検査で異常はみられず、3月21日にも退院できることが分かった。

 今年もST-5クラスのOHLINS Roadster NATSから参戦している山野は、最終スティントでトップ争いを繰り広げていたが、チェッカーまで残り50分を切った130Rの立ち上がりで、17号車DIXCELアラゴスタNOPROデミオと接触。挙動を乱した72号車は日立Astemoシケイン手前のガードレールに激しくクラッシュした。

 その後、メディカルセンターに運ばれた後、鈴鹿中央病院へ搬送されており、夜には既報のとおり意識がある状態であることをお伝えしたが、事故から約一日経った20日夕方に山野本人と電話で連絡が取れ、脳震盪、肋骨骨折、全身打撲があったことを明かした。

 事故直後のMRIで脳に“気になるところ”があったとのことで、3月20日に追加でMRI検査、精密検査が実施されたが、幸い異常はみられず。明日にも鈴鹿中央病院を退院し、山野の地元である総合守谷第一病院で引き続き経過の観察を行うとともに、怪我の回復に努めていくという。

 今回の事故を受け、山野が自身のスポンサー向けに作成したコメントが本人から届いたのでご紹介しよう。全文は以下のとおりだ。

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 長い期間レースに参戦していますが、これだけの大きなクラッシュを体験するのは初めてでした。まずはスーパー耐久シリーズ開幕戦鈴鹿ラウンドを、本来の5時間ではなく赤旗中断にさせてしまったことを主催者、運営者、参加チーム、ドライバー、鈴鹿まで来てくれたファンの方々に対し申し訳なく思い、心からお詫びします。そして私がクラッシュした際、迅速に緊急体制を整えてくれ病院まで運んでくれた鈴鹿サーキットのマーシャル、メディカルセンターの方々に感謝します。

 また私の命を守ってくれたアライヘルメット、ブリッドのバケットシート、シュロスのシートベルト、クスコのロールケージ、そして軽量オープンスポーティカーでありながらキャビンを堅牢に守ってくれたマツダ・ロードスターに感謝します。

 脳震盪、肋骨骨折、全身打撲はありましたが、あのインパクトからは考えられないほどの軽傷で済みました。不幸中の幸いでした。明日3月21日に鈴鹿中央総合病院を退院することになりました。その後は地元の総合守谷第一病院で引き継ぐことになります。最高のマシンを作ってくれたNATS、iCraftにも申し訳ない気持ちでいっぱいですが、すでに富士に向けて動き出しているようです。

 チャンピオン獲得に向けて身体の準備を整えたいと思います。心配してくださっている皆さまに感謝の意をお伝えしたく、ここにご報告させていただきました。これからも山野哲也への応援をどうぞよろしくお願いいたします。

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 また、YouTube Live『S耐TV』では、車両から自分の足で脱出したと伝えられたが、本人はその時のことを覚えていないとのこと。現在は電話で普通に会話はできるものの、骨折した肋骨をはじめ、首や背中にはまだ痛みがあるという。

 現段階では安静が必要なようだが、事故直後から関係者やドライバーからメッセージが鳴り止まず、「ふだんはあまり連絡を取らないドライバーからもメッセージが届いて、本当に嬉しいなと思います。ありがたいです。まだ(体が)痛いですけど、皆さんの声が力になっていて、乗り越えられる気がしています」と話した。

 なお、山野は今週末の3月26日にモビリティリゾートもてぎ南コースで行われる全日本ジムカーナ選手権第1戦にエントリーしているが、こちらの参加可否については、明日の退院後に改めて判断をするとのことだ。

2022スーパー耐久第5戦もてぎ OHLINS Roadster NATS(山野哲也/金井亮忠/野島俊哉)
2022年にアルピーヌA110Sで22回目の全日本ジムカーナ王者を獲得した山野哲也

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