<南風>ノンタンの大活躍

 2009年4月ジュンク堂オープン初日、来店客数は2万人にも達し、これ以上ない船出となった。東京から多数の出版社も祝いにと駆けつけ、その数は30社にも及んだ。

 開店2日目はノンタンの着ぐるみもやって来た。と言っても外部ではなく当スタッフが中に入るというものだが、子どもに大人気のキャラクターである。

 その日も朝からたくさんの人であふれていた。外は真夏のような日差しが照りつけ、店内に熱気が立ち込める。取扱説明書には大男が入るのはノンタンとしてふさわしくなく160センチまでと書いてある。開店までの忙しさと、かぶり物に入ってみたい、そんな余裕は誰一人なく、限られた女性社員が入ることになった。

 子どもたちは大喜びなのだが、10分もすると事務所に戻って来ては汗だく状態になり疲れ切っているではないか。そんな時、東京から来ていたジュンク堂創業者の夫人がその様子を見て、代わりに入ると言い出された。背丈も申し分ない。夫人ノンタンは意気揚々と子どもたちの方へ向かったのだが、蹴られるわ、たたかれるわ、尻尾を捕まれ引っ張られている!

 目を開けて見てはいられない。しばらくすると、ノンタンの前にはそれを聞きつけたネクタイにスーツ姿の出版社の人たちがずらり、着ぐるみに向かって頭を下げあいさつをしている。初めて目にする奇妙な光景だ。これも沖縄の暑い開放的な気候がそうさせるのか? 子どもたちから蹴られていたことなどお構いなく… 楽しかったとの笑顔で、忙しい一日にほっこりする時間となった。

 そんな2日目も3日目も、連日初日とほぼ同じくらいの人でにぎわった。ちなみに夫人はその後に自前で着ぐるみを購入され、何年にもわたって夫人ノンタンは全国行脚することになったのである。また次回!

(森本浩平、ジュンク堂那覇店店長)

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