ドーピング検査功労で表彰 渡瀬浩介さん(佐賀市) 佐賀県のアンチ・ドーピングのパイオニア、東京五輪も参加

ドーピング検査員の永年勤続功労賞を受けた渡瀬浩介さん。SAGAスタジアムなどのドーピング検査室の設計をアドバイスした=佐賀市の同スタジアム

 ドーピング検査員として15年間活動してきたスポーツ・安全教育アドバイザーの渡瀬浩介さん(65)=佐賀市=が、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の永年勤続功労賞を受けた。佐賀県のアンチ・ドーピングのパイオニアで、東京五輪など数多くのスポーツイベントで検査に従事してきた。

 中学教諭だった渡瀬さんは、県中学校体育連盟理事長を経て県体育協会(当時)に出向した2004年、アンチ・ドーピング部会の設置を担当した。部会は啓発や研修のほか、検査を担うドーピング・コントロール・オフィサー(DCO)の育成を目的に掲げ、自身も08年に資格を取得した。

 教頭や校長の多忙な業務の合間を縫って全国を飛び回り、国体やJリーグなどで検査を担当した。21年の東京五輪は「活動の集大成」として臨み、コロナ禍で制約を受けながら約1週間の業務をやり遂げた。

 スポーツドクターや薬剤師を中心に多いときには県内で6人のDCOが活動していたが、2年ごとの試験など更新のハードルが高く、実働するのは渡瀬さんだけになった。「部会を立ち上げた責任を果たしたいという思いがあったから、15年も続けてこられた」。検査を通じたトップ選手との交流によって、スポーツの素晴らしさも実感した。

 経験を生かし、佐賀市のSAGAスタジアムとSAGAアリーナに新設されたドーピング検査室の設計をアドバイスした。来年は県内で国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会が開催される。「アンチ・ドーピングの動きを盛り上げるチャンス。スポーツの価値を守る活動を行うDCOに、ぜひチャレンジしてほしい」と呼びかける。(江島貴之)

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