日産 デイズは2019年3月28日に発表、発売されました。先進安全機能や軽自動車の域を超えた乗り心地と軽快な走りが魅力のデイズ。そろそろマイナーチェンジも控えており、より商品力を高めていきそうです。そんなデイズの燃費、内装、価格などをモータージャーナリストの青山尚暉さんが詳しく解説します。
デイズのおすすめポイント
1. 日産が一から開発した軽自動車の概念を変えた商品力
2. プロパイロットやSOSコールなど、先進運転支援機能や安心機能を満載
3. 軽自動車の域を超えた乗り心地と軽快な走り
デイズのレビュー・評価
総合評価 4.58 ★★★★★
良かった点
デイズは日産として初めて軽自動車用プラットフォーム(ホイールベース先代比+65mm)、エンジン、ステップ変速付きCVTなどを新規開発しました。
また、ミニバンの日産 セレナなどに採用されているマイルドハイブリッド機構(リチウムイオン電池採用)、日産自慢の同一車線内半自動運転機能のプロパイロット、前後ブレーキ制御付き踏み間違い衝突防止アシスト、さらには9インチナビ装着で可能になるオペレーター対応のSOSコール(ドコモの通信による)、日産コネクトサービス、インテリジェントアラウンドビューモニターなども用意しています。
さらに洗練されたデザイン、山道での安定感、高速100km/h走行でもリラックスできる走行性能に至るすべてが、これまでの軽自動車の概念を超えています。
なにしろ、兄弟車の三菱 ekシリーズとともに、2019-2020日本カー・オブ・ザ・イヤーのスモールモビリティ部門賞受賞車であり、その性能は折り紙付きです。
気になった点
デイズはNAエンジンとターボエンジンを揃えていますが、高出力のターボエンジンのトルクは2000回転を超えてから出るタイプで、低回転域ではややトルク不足を感じることもあります。
また、エンジンを高回転まで回したときのエンジンフィールのザワつき感、ノイズが気になることもあります。
同じマイルドハイブリッド採用の軽自動車用エンジンでも、ライバル車のスズキ ワゴンRのほうが洗練されていると感じる人もいるかもしれません。
また、後席はクラスの中で唯一、一体スライド式なので、シートアレンジ性にはやや不満が出てくるかもしれません。
そのシートアレンジ性では、後席を格納したときに、ラゲッジフロアと後席格納部分に約75mmの段差ができる点も惜しいところです。ワゴンRにはそうした段差はなく、ほんの少しの角度はあるものの、よりフラットな拡大フロアが出現します。
デイズの基本スペック・価格表
デイズのボディサイズ
デイズの燃費
より実燃費に近いWLTCモード燃費は、マイルドハイブリッド採用のNAエンジンが23.3km/L、ターボが21.5km/Lです。
ライバル車と比較してみると、スズキ ワゴンRは同22.2km/L、19.8km/L、ホンダN-WGNは同23.2km/L、21.2km/Lとなり、燃費性能でやや優位に立っています。
デイズの発売日と納期の目安
デイズは2019年3月28日に発表、発売されました。
デイズには派生車種がありましたが、2019年のフルモデルチェンジ時にデイズは単一車種となりました。もともと「デイズルークス」の名前で販売されていたスーパーハイトワゴンタイプの軽自動車はデイズの冠を外し「ルークス」として2020年に発表され、デイズとルークスは別の車として扱われています。
そのルークスは2023年夏にもマイナーチェンジが予定されていますが、デイズのマイナーチェンジはルークスの後に実施となりそうです。
2023年3月中旬時点でルークスはすでに一部のグレードが販売されていませんが、デイズにはそのような記述は見当たりませんでした。
デイズの納期はおおよそ3ヶ月程度です。在庫があるなど、早ければ1ヶ月程度の場合もあります。
デイズのおすすめポイント解説
1. 日産が一から開発した軽自動車の概念を変えた商品力
先代デイズは日産と三菱の合弁軽自動車企画会社「NMKV」の企画によるもので、企画を日産が、開発、生産を三菱が担当していました。その三菱版がekワゴンでした。しかし、この現行デイズは「NMKV」での企画はそのままに、開発を日産が担当しています(生産は三菱の水島製作所)。
さらにマイルドハイブリッド機構=S-HYBRIDのバッテリーは先代セレナなどが鉛バッテリーを使っているのに対して、リチウムイオンバッテリーを採用しました。結果、回生エネルギー2倍、アイドリングストップ時間10%UP、モーターアシスト時間10倍以上になるというのだから、ほとんど軽自動車界の“事件”と言える、非常に燃費の良いハイト系軽自動車です。
先代デイズのNAエンジン搭載車はトルク不足がウィークポイントでしたが、現行モデルではNAエンジンのトルクアップを果たし、ライバルに遜色ない動力性能を手に入れています。
2. プロパイロットやSOSコールなど、先進運転支援機能や安心機能を満載
日産車の売りである、同一車線内半自動運転機能のプロパイロット1.0の採用をはじめ、軽自動車初の緊急通報サービス=SOSコールの採用も大きな魅力、安心となります。
そのほかの先進運転支援機能の充実ぶりを含め、軽自動車界に一石を投じることになりました。
3. 軽自動車の域を超えた乗り心地と軽快な走り
デイズは走り出しから、とにかく軽自動車らしからぬ静かさとスムースさを発揮します。乗り心地はズバリ、軽ハイトワゴンクラス最上級と言っていいでしょう。もはや、多くのコンパクトカーを凌ぐレベルにあります。
路面の段差や凹みを乗り越えたとしても、終始維持されるフラット感を失わず、乗員に伝わるショック、音、振動も最小限です。ボディのしっかり感がひしひしと伝わってくる印象があります。カーブや高速レーンチェンジなどでの性能も優秀です。
ステアリングフィールは落ち着き感のあるもので、切ったぶんだけしっかりとリニアに、しかし軽快に向きを変えてくれます。
とくに15インチタイヤを履くターボモデルは足回りのロール感もじんわりスムースで不安を誘いにくく、高速走行での安定感、直進性の良さもまた、ハイト系軽自動車最上レベルとなっています。
エンジンのスムースさではスズキ ワゴンRに敵わず、走りのスポーツ度ではホンダ N-WGNに譲るものの、ロードノイズ、風切り音の遮断の巧みさなど、静粛性の高さもあって、運転にかかわるストレスは最小限。走りの洗練度、大人っぽさが際立っています。
外観(エクステリア)
エクステリアでは、特にハイウェイスターの上級感あふれる、ミニセレナ(先代)を思わせるフロントデザインが上質さを向上させています。どうしても平板になりがちなサイド面もシャープなライン、抑揚ある面で構成され、車両全体の質感UPに貢献している印象です。2トーンカラーボディを選べば、上級感、スタイリッシュさはさらに高まります。
内装(インテリア)
インテリアもじつに洗練されています。
インパネにラッピング=ソフトパッドを使い、前席には日産のセダンであるティアナやスカイラインで使われるゼログラビティシートを採用。クッション性、たわみ性能、座り疲れ性も優秀で、実際、ふんわりとした体にやさしいかけ心地が魅力です。収納にも、きめ細かな配慮がなされています。
後部座席
後席の居住性そのものは非常に良いものです。
シートは一体スライド式で、ラゲッジ回りのアレンジ性では左右独立スライド機構を持つライバルに劣るものの、先代比でホイールベース+65mmのほとんどを後席膝周り空間に割り当てたことから、後席膝周り空間は先代比+70mm。
身長172cmの筆者のドライビングポジション背後に着座すれば、後席ひざ回り空間はクラス最大の340mmものスペースがフラットなフロアとともにあるので(2位はスズキ ワゴンRの320mm)、ハイトワゴン軽としての居住感覚は素晴らしく広々、ゆったり。クラスを超えた居心地の良さがあります。
安全装備
先進運転支援機能のプロパイロット、SOSコール、日産コネクトサービスはもちろん、基本的な安全性能にもぬかりはありません。
前後ブレーキ制御付き踏み間違い衝突防止アシストなどの先進安全装備の充実度にも注目です。
似たような機能でも、ブレーキ制御のない踏み間違い抑制装置も少なくありません。運転初心者はもちろん、シニアドライバーにも絶大なる安心感を与えてくれることは間違いないでしょう。
デイズのおすすめグレード
デイズのグレードをざっくり分けると、大人し目の標準車とスタイリッシュさ際立つハイウェイスターがあり、標準車はNAエンジンのみとなります。
ハイウェイスターはNAエンジンとターボエンジンの両方が用意され、さらにハイウェイスターには同一車線内半自動運転機能のプロパイロット1.0が搭載されるプロパイロットエディションが用意されています。
街乗り中心、足代わりというなら先代に対して活発さを増したNAエンジンでも十分だが、遠出、高速走行の機会が多いならターボのプロパイロットエディションが良いでしょう。
それなりの価格にはなってしまいますが、ハイウェイスターGターボプロパイロットエディションが適役です。
個人的なボディカラーのおすすめは、一段と上質感が高まり、シックで大人っぽいアッシュブラウン×フローズンバニラパールの2トーンカラーです。
デイズのカラーバリエーション
ハイウェイスター
デイズ
デイズはこんな人におすすめ
「クルマは小さくていい」ということで軽自動車を探していて、しかし安全性能、安全装備、そしてSOSコールやオペレーターサービスといったコネクティッド機能の充実度は譲れないという人にとって、デイズはまさに理想的な1台となるでしょう。
運転初心者、シニアドライバーにも最適です。ターボモデルなら、一家に一台のファーストカーとしても活躍してくれるでしょう。
【筆者:青山 尚暉】