【センバツ】慶応・小宅、誇れる8回1失点 甲子園初登板、信じた直球

8回を投げ6安打1失点だった慶応の小宅=甲子園(立石 祐志写す)

◆慶応1-2仙台育英
 緊張の色をほとんど見せない冷静なマウンドさばき。降雨をものともせず、慶応の小宅は自分の直球を最後まで信じた。「コントロールを意識しながら、直球で押せた」。甲子園初登板で、仙台育英打線を向こうに8回1失点は誇れる投球だ。

 140キロに迫るストレートが小気味よく、捕手渡辺憩のミットに吸い込まれた。相手のリードオフマン山田を先頭打者で迎えること3度。全て最後は直球で外野フライに打ち取り、「キーになるバッターを打ち取れて、流れを止められた」と小宅。八回2死一塁でも山田を一邪飛に打ち取り、同点劇につなげた。

 栃木県の県央宇都宮ボーイズで全国優勝を経験した右腕。今大会に21世紀枠で出場している石橋(栃木)の遊撃入江とは共に副主将としてチームを引っ張った間柄だ。「準決勝まで会えないけど、勝ち進めばありそうだな」。語り合った夢は実現しなかったが、夏への原動力になるはずだ。

 腰痛と向き合いながら、昨秋に台頭し、つかんだセンバツのマウンド。森林貴彦監督(49)は「相手打線を学生コーチと分析したことが功を奏した。九回まで1点に抑えたのはチームとして上出来」と賛辞を贈った。

 まだまだ発展途上の2年生。小宅は「甲子園は楽しかった。この1勝のために絶対帰ってくる」と前を向いた。

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