岸田首相キーウ電撃訪問 「復興支援に」「対立深まる」長崎県内、期待と懸念の声

 ロシアの軍事侵攻が続くウクライナを岸田文雄首相が電撃訪問した21日、長崎県ゆかりの同国出身者らは「復興支援につながってほしい」と歓迎。一方、被爆者からは、同国を軍事支援する北大西洋条約機構(NATO)と日本が一体と見られ、ロシアとの分断が進むと懸念する声も聞かれた。
 ウクライナ出身で、壱岐市を拠点の一つとして避難民を支援している小野ヤーナさん(40)=大分県在住=は「驚いたが(岸田首相は)勇気がある。日本の支援には感謝の気持ちばかりだ」と評価。現地の人々の窮状を知ってほしいと願いつつ「日本の桜や若者に人気のアニメなど、戦争を忘れられる話もしてもらえれば」と期待した。
 ウクライナ国民と長年にわたり交流してきた長崎大グローバル連携機構の高橋純平助教(55)は「ウクライナ人の多くは日本の文化に肯定的で、経済大国のイメージを持っている。軍事支援が期待できないことは分かっていると思う」と指摘。過去の戦争や震災を踏まえ「復興のノウハウを生かしたサポートはまさに日本ができる支援だ」と語った。
 一方、県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長(79)は「ロシアとの対立がますます深まる」と危惧。日本が議長国を務める先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)を5月に控えるが「ロシアと対話を通じて信頼を醸成し、停戦を促す役割を果たすべきだ」と求めた。


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