医療用麻薬「ペチジン」を院外持ち出し 川崎市のクリニック院長を逮捕

 厳重な保管が求められる医療用麻薬を、正当な理由なく院外に持ち出していたとして川崎市のクリニック院長が逮捕された。情報提供があり捜査していたという。

複数回持ち出しか、すでに家宅捜索

 神奈川県警薬物銃器対策課と中原署、関東信越厚生局麻薬取締部横浜分室が22日発表したところによると、逮捕されたのは川崎市中原区の「武蔵小杉平沼クリニック」院長の平沼菜穂子容疑者。昨年12月初旬、容疑者が勤務するクリニックから医療用麻薬「ペチジン」が含まれている液体6.6mlを自身のバッグに入れているところが発見されていたという。県警はすでに容疑者の自宅やクリニック内を家宅捜索しており、複数回にわたって私的に持ち出したとみている。県警は容疑者の認否を明らかにしていない。

 医療用麻薬として知られる「ペチジン」は、激しい痛みに対する鎮痛鎮静剤として使用されるが、麻薬であるため厳重な保管と管理が求められている。厚生労働省が発行している「病院・診療所における麻薬管理マニュアル」によると、麻薬は医療従事者なら誰でも取り扱えるわけではなく、その資格を前提に、さらに取扱に関する申請を保健所等に申請し、免許交付を受けたものしか許されない。さらに施設内の人目につかない場所に鍵付きの保管庫を用意して管理することとされ、在庫数を管理する帳簿を備え、適宜照合することが求められている。

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