普及が進む「マイナンバーカード」、その利便性を専門家がズバリ解説

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。3月15日(水)放送の「フラトピ!」のコーナーでは、普及が進む“マイナンバーカード”について改めて検証しました。

◆申請枚数9,000万枚突破、人口に対する申請率は75%

2016年に交付が始まったマイナンバーカードは普及が進み、今年2月には申請枚数が9,000万枚を突破。人口に対する申請率は、75%に達しています。しかし、カードを持っていない人からは、「面倒で作っていない」、「そこまでメリットを感じていない」といった声が聞かれます。

そこで今回はマイナンバーカードの利用法や疑問点などについて、個人情報保護などが専門の中央大学・宮下教授に話を伺いました。

まずマイナンバーカード制度について、宮下教授は「"税”と"社会保障”、"災害対策”の仕組みを行政のなかで効率化し、デジタル化していくための制度」と解説。さらに「行政の手続きの利便性を向上させ、もうひとつは行政で個人のデータを記録し、保管・管理しておく目的」と補足します。

行政の効率化と国民の手続きの簡略化のために導入されたマイナンバーカード。現在、その利用法はさまざまで、本人身分証として使えるのはもちろん、住民票の写しの発行をコンビニでできたり、保険証として利用できたり、確定申告の手続きが簡単にできるなどのメリットが。今後は運転免許証との一体化、さらにはスマートフォンに機能を搭載するなど、より身近なものになっていくと宮下教授は言います。

◆マイナンバーカードは紛失しても悪用されない!?

紛失してしまった場合の個人情報の漏洩など、安全性への懸念の声に対しては、宮下教授は「マイナンバーカードを使用する際は暗証番号が必要となるので、すぐに悪用されるわけではないと考えていい」と話します。

また、カードについているICチップには、税や年金などプライバシー性の高い情報はなく、マイナンバーを利用する手続きは顔写真付き本人確認書類による本人確認が必要となるため、悪用するのは困難だということです。

そして、個人情報のデータ管理についても「そもそもマイナンバーのシステム(個人情報)は各自治体が管理しているので、ひとつのデータベースセンターで管理しているわけではない」と宮下教授。情報を特定の機関で集約せず、分散して管理することにより、芋づる式に情報が漏れるようなことがない仕組みになっています。

最後に宮下教授は「重要なのは、カードは身分証(本人確認書類)であって、(持ち歩いても)比較的安全だというメッセージをしっかりと発信すること。さらには政府としての情報セキュリティの支援をするなどしていけば、マイナンバーカードの普及率は上がっていくと考えている」と話していました。

キャスターの堀潤は、マイナンバーは日本が国家としてこれからどのような情報活用政策と再分配政策を進めていくのか、その鍵を握るデータ基盤となるものと解説します。

インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんは、「(マイナンバーカードを)2016年に配り始め、デジタル庁を作ったのがその後だったので、順番を先に設計してからやればよかったのに」と惜しみます。また、マイナンバーの利用範囲が法改正を経ずに省令で定めれば可能となることについて触れ「そこはもう少し慎重に議論した方が良いのでは」とも。

株式会社POTETO Media代表取締役の古井康介さんも、マイナンバーカードの利便性を評価していましたが、現状では個人で事業をやっていない人など一部の人にはメリットが未知数なのも事実。しかし、「これが進めば、カルテなども病院間で連携してもらえるようになるなど、デジタルの強みを活かした世界が先に待っている」とし、今後より一層推進していくべきと主張。

そして、危険性についても「キャッシュカードもクレジットカードも暗証番号と一緒に紛失すれば危ない」と言い「キャッシュカードなどと同じで紛失したらすぐに連絡して対応していく、そこの管理を上手くやっていけば、メリットのほうが大きいんじゃないか」と指摘していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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