グリッド停止位置違反でアロンソに科された厳罰をF1ドライバーが批判「そもそもラインが見えない。常識的な対応を」

 F1バーレーンGPではエステバン・オコン(アルピーヌ)に、サウジアラビアGPではフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)に、決勝スタート時にグリッドボックスからはみ出していたことで5秒のタイムペナルティを科された。これは厳しすぎる措置であると、他のドライバーから批判の声が上がっている。

 昨年まで、レースディレクターは、マシンの停止位置がグリッドラインより後ろであり、レッドライトが消えるまで動かない限りは、ボックスラインから数センチはみ出していても何のメリットもないと判断し、ほとんどの場合、ペナルティを科さなかった。しかし今年はその方針が変わったようだ。

 オコンもアロンソも、スターティングボックスの外にタイヤがはみ出していたとして、スタート位置が不正確であったと判断され、5秒のタイムペナルティを受けた。

2023年F1第2戦サウジアラビアGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が3位を獲得

 アロンソは、決勝終了直後、その瞬間の映像を見ていない段階だったが、この違反は自分のミスであると語った。

「まずレースの映像を見直す必要があるけれど、僕は左に寄りすぎていたようだね。だからそれは僕のミスだ。もう少し注意を払う必要がある」

「でも2戦で2台がこのペナルティを受けたのはおかしなことだとも思う。エステバンと僕が同じペナルティを受けた。今年のマシンでは、停止位置を決める時に、ヘイローや何かが視界の邪魔になっているかもしれない。とはいえ、あれは僕のミスだ。それで5秒ペナルティを受けたとチームに言われたので、プッシュして7秒を稼ぎ、ペナルティの分を稼いだ」

 グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション理事を務めるジョージ・ラッセル(メルセデス)は、これまでもFIAがドライバーがアドバンテージを得ていないような状況にも厳しくペナルティを取ることを批判しており、今回のアロンソのペナルティにも同じ姿勢を示した。

「グリッドにマシンを停める位置を正確に把握するのはものすごく難しいんだ。とても低い位置に座っていて、そこから見渡しても、タイヤの4インチか5インチ上ぐらいしか見えない。実際、路面自体は見えないんだから」とラッセルは言う。

「グリッドボックス外まで黄色の大きくて長いラインが引かれているけれど、その黄色いラインすら見えないし、横方向の位置を決める白線も見えない。とても難しい状況だよ。だからこの点に関しては、もう少し常識を示す必要があると思う」

2023年F1第2戦サウジアラビアGP プラクティスでのスタート手順のシミュレーション

 サウジアラビアで優勝したセルジオ・ペレス(レッドブル)もラッセルと同意見だ。

「自分の停止位置を確認するのは本当に難しいんだ。マシンに乗っていると、どこに停まっているのか把握できない。行きすぎているのか、もっと進むべきなのか、分からないんだ。もっと視界を改善するか、今よりもいいアイデアを考え出す必要があると思う。ルールがあるのはいいことだが、一方で、マシンの停止位置については、運に左右される場合がある」

 ふたりとは少し異なり、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、ルールは必要であり、それを守るべきだとの考えを示した。

「ああいうことが起こるのは辛いものだけど、これはトラックリミットの白線と同じようなものだ」とフェルスタッペンは言う。

「時々議論になる。はみだしたことで何かメリットを得たのか、とね。僕は、ある意味、ルールは必要だと思っている。左か右に大きくはみ出してアドバンテージを得ようとし始める人が出てきたりするのは本当にばからしいからね。どうすればもっと良くなるのか、僕には分からない。マシンに乗り込んでいると視界がとても悪い。それが一番の問題で、時にはグリッドボックスのなかに正しく停められないことがあるんだ」

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