<南風>シェアするキッチン

 間借りカレーという言葉が注目を浴びてきたが、最近、飲食店の新しい営業スタイルをよく耳にする。間借りカレーとは、店舗のスペースを借りて営業しているカレー屋のことだ。夜からオープンする居酒屋やバーの空き時間であるランチタイムを借りて、カレー店を営業する。

 間借り営業は、初期費用を抑えることができて、トライしやすく、貸す側にも賃料が入り、メリットがある。最近では、2社でシェアして営業する店舗も登場した。モーニングからランチタイムの時間帯と、夜間のバータイムの二部に分けて、店舗を2社でシェアする。まさに、二毛作ビジネスの営業スタイルだ。

 2社でシェアすることで、開店準備にかかる初期費用を抑えることができて、開店後も家賃や光熱費などのランニングコストの軽減にもなり、相互にとってメリットが大きい。また沖縄でもコロナ禍から需要が急増したデリバリー業界にもシェアの動向がある。

 デリバリーサービスに登録をしている店舗の中には、実店舗を持たず間借り店舗で調理するデリバリ―販売に特化した、いわゆる「ゴーストレストラン」も増えている。さらには、客席などの飲食スペースがなく、キッチンだけの施設を貸し出しする「シェアキッチン」も誕生している。

 シェアキッチンは調理設備が完備され、保健所の営業許可申請も済ませた施設なので、手軽にデリバリー販売を始めることができる。中には、一つのキッチンを借りて、カレーやラーメン、弁当など、さまざまなメニューを調理し、デリバリーサービス上で複数のショップを展開する事業者もあるほどだ。

 コロナ禍で、それぞれの飲食店がターゲットやコストを見直し、需要に合わせていく中で、負担をシェアして助け合う仕組みが次々と誕生している。

(下地友香、ちゅらグルメ編集長)

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