「予定が狂った」那覇空港、最大2時間半の遅れ 春休みシーズン重なり混雑や疲れ 保安検査場一時閉鎖

 那覇空港の制限区域内にある全日空(ANA)のラウンジでカッターナイフが見つかった影響で、那覇空港国内線ターミナルは22日午前中、2階の保安検査場が一時閉鎖され、大きく混雑した。保安検査場を通った旅客も再検査に。検査待ちの搭乗客の列は連なり、最後尾はビル中央付近のホールにまで至った。エスカレーターは、混雑に伴う転倒防止のため一時停止されるなど、影響はビル全体に広がった。

 航空各社によると欠航や遅延などが生じ、少なくとも那覇発着の68便、約1万3千人に影響が出た。JALグループやANA、ピーチなどで最大で約2時間半の遅延があった。

 ANAは経緯や保安体制、今後の対策などについて「保安事象により、回答は控える」としており、保安事象の内容についても答えられないとした。那覇空港事務所は「(今回の事案を)重く受け止めている」とし、航空各社を含む那覇空港関係機関で事案の情報共有をし、再発防止に努めたいとしている。

 同日、空港ビル2階は人が密集し熱気で蒸し暑く、搭乗客らはいらだちを抑えつつ保安検査の順番を待っていた。混雑は保安検査再開後の午前11時ごろから緩和に向かい、午後1時半ごろにはおおむね解消した。

 午前10時半発の福岡行きの便に搭乗予定だった、西原町の会社員(39)は、一度保安検査場を通過したが再検査のため搭乗待合室から出た。検査を待つ列に1時間ほど並び「出張だが予定が狂った。遅れるのは仕方がないが、立ち続けるのは疲れる」と語った。

 選抜高校野球大会に出場している沖縄尚学高野球部に孫がいるという女性(69)=八重瀬町=は、応援のため神戸に向かう予定だった。出発の予定は午前11時半で、正午を過ぎても案内はなかった。一緒にいた4歳の孫は熱気で汗びっしょりに。女性は「もう帰ろうかと思っている」と想像以上の遅延に疲労感をにじませた。

 (與那覇智早、西銘研志郎、金盛文香)

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