あふれる遊び心 和田誠展が開幕 岡山県立美術館、ポスターや装丁

壁一面に張られた映画や演劇、イベントのポスターに見入る来場者

 イラストレーター、グラフィックデザイナーなど多彩な創作活動で知られた和田誠さん(1936~2019年)の業績をたどる「和田誠展」が24日、岡山市北区天神町の県立美術館で開幕した。ポスターや本の装丁から映画、作曲、アートまで、遊び心にあふれつつ本質を捉えた膨大な作品群に訪れたファンらが圧倒されていた。

 和田さんは大阪生まれで幼少から漫画や似顔絵を得意にし、多摩美術大在学時にデザインの仕事を始めて雑誌の挿絵、絵本、アートディレクター…と“芋づる式”に活躍の場を広げた。その多岐にわたった仕事の全貌に迫る初の大規模回顧展。国内外の有名人の特徴をとらえた「似顔絵」や「エッセイ」「アニメーション」など、30のテーマを軸に約3千点を展示している。

 映画好きが高じ、監督から挿入歌まで担当した映画「怪盗ルビイ」のポスターや、代表する仕事の一つで40年間続けた「週刊文春」の表紙絵がずらりと並ぶコーナーもあり、入館者は記憶に残る和田さんの仕事を見つけて楽しんでいた。同市中区の女性会社員(39)は「星新一のショートショートが好きで装丁を見にきた。これも和田さんだったんだという作品がたくさんあり驚いた」と話していた。

 一般公開に先立ち開会式があり、伊原木隆太知事、松田正己山陽新聞社社長が「一人からこれだけ多彩な作品が生み出されたのは驚きだ。戦後の日本文化を支えた素晴らしい作品の数々を楽しんでほしい」とあいさつ。岡崎彬・県立美術館運営協議会長、守安收館長を加えた4人がテープカットした。

 県立美術館、山陽新聞社主催。5月7日まで。同1日を除く月曜休館。

テープカットする主催者ら
壁一面に展示された「週刊文春」表紙に見入る来場者
和田誠さんの生涯の仕事を、年齢ごとに追うことができる立体パネルを鑑賞する来場者

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