サル痘患者国内で急増 今年だけですでに55人報告、昨年の約8倍

 今年に入り「サル痘」の感染者が国内で急増していることが分かった。厚生労働省や自治体の発表によると、今年に入ってから判明した感染者数は55人で昨年の約8倍にのぼっている。同省では諸外国と比べても感染者が増えているとして注意喚起している。

渡航歴のない感染者増加

 「サル痘(エムポックス)」は、サル痘ウイルスによる感染症で、これまでは中央アフリカから西アフリカにかけて流行してきた風土病ともいえるものだったが、昨年年5月以降、欧州や米国等で感染者の報告が相次いでいる。WHOは「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を昨年7月に宣言、各国に注意と対応を呼びかけている。日本では感染症法で「四類感染症」に指定されている。主な症状は発熱、頭痛、筋肉痛、リンパ節腫脹、発疹で、ウイルス型にもよるが死亡率は最大10%とされる。日本においては承認された治療薬はない。

 今月に入り、大阪府や埼玉県に住む4人の感染が新たに分かったが、全員海外渡航歴がないことも判明しており、国内で市中感染が広がっていることが懸念されている。3月24日時点ですでに55人の感染が明らかになっていて、昨年7月に初めての感染者が確認されて以来、急増しているとみられる。厚労省は「諸外国と比べても感染者が増えてきており、症状が出たら早めに保健所に連絡をしてほしい」と呼び掛けた。

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