ストイコヴィッチ監督は「簡単そうなEURO予選」に何を語ったか。日本人女性が直撃した『新たな始まり』の会見

「欧州のブラジル」とも呼ばれ、数多くの名選手を生み出してきたユーゴスラヴィア。分裂後もクロアチアやセルビア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナなどがワールドカップに出場するなど、サッカーが非常に盛んで熱い地域として知られている。

そのセルビアのサッカーを現地からレポートしていただくのが石川美紀子さん。バルカン地域の研究者でありながら、サッカーの取材記者やカメラマンとしても活躍している女性である。

今回は、3月24日にEURO2024予選のリトアニア戦、27日に同じくモンテネグロ戦を戦うセルビア代表チームの潜入取材。試合前に行われた記者会見に石川さんが直撃!

ストイコヴィッチ監督の記者会見に直撃する

日本からは桜の便りが届く時期、セルビアでもあちこちで花が咲き木々が芽吹いて、代表ウィークのスタートである。

報道陣が集まっているセルビアサッカー協会

現地時間3月20日(月)、数年前にセルビアサッカー協会が威信をかけて建設したナショナルスポーツセンターで、セルビア代表監督ドラガン・ストイコヴィッチ(ピクシー)の会見が行われた。

このナショナルスポーツセンター、首都ベオグラードから高速道路で1時間弱、ベオグラードの国際空港からは車で30分もかからない距離である。

サッカーグラウンドが6面、宿泊施設や記者会見場なども備え、毎週のリーグ戦のVARなどもこの施設内でチェックされる。この代表ウィーク中は各世代の代表合宿で報道陣も多く出入りし、メイングラウンドではU17のEURO予選も開催されている。

協会内で最も大きな会場での会見

EURO2024(欧州選手権)予選に向けての代表ウィーク初日、海外のクラブでプレーしている代表選手たちの集合に先立ち、代表監督ピクシーがカタールW杯の総括とユーロ予選への展望を語る場が用意された。

ピクシー「リトアニア、簡単な相手じゃない」

セルビア代表は、カタールW杯ではグループステージでひとつも勝てないまま敗退。監督のカリスマ性もあって国内の期待は高かっただけに、W杯後はその進退も含めて批判の声も多々あった。

今回のユーロ予選に関しても、セルビアが戦うグループGはハンガリー、ブルガリア、モンテネグロ、リトアニアとの組み合わせであり、比較的簡単なグループで24年ぶりのEURO出場は最重要課題だとされている。

日本人女性のフォトグラファーが珍しいのか何度か目線をいただく

ドラガン・ストイコヴィッチ

「我々はいま、新たな始まりにいる。セルビアが欧州選手権に24年出場していないことは誰もが知っている事実だ。

まず最初のステップは、初戦のリトアニアに勝つこと。その後のことは、勝ってから考えよう。

我々が戦うグループは、比較的簡単だと思われているかもしれないが、私はそうは思わない。むしろ最も難しいグループだと思う。

リトアニアとの試合が簡単だと思う人がいたら、それは大きな間違いだ。」

なお、3月14日に予定されていたセルビアサッカー協会の会長選挙は、前日に候補者の辞退があり、無投票でレッドスター・ベオグラードの『第3星人』(歴代5人のスターのうち3人目で存命の人物では最長老、かなりの大物)ドラガン・ジャイッチが新会長に就任した。彼は「ピクシーとの関係が良くない」と取り沙汰されていた人物でもある。

しかし、ピクシーは会見でこのことに関しても「少なくとも私からは問題はなかった。確かにしばらく連絡は取っていなかったが、それは今は大きな問題ではない」とコメントしている(ちなみにピクシーは『第5星人』)。

ちなみに「星人」というのはレッドスターで長く活躍した選手に贈られる殊勲賞のようなもので、ストイコヴィッチは24歳という若さでその称号を手にしている。

手に持っているのは代表選手リスト

EURO予選の取材と撮影が許可された!

注目のユーロ予選、セルビアの初戦リトアニア戦は、現地時間3月24日(金)20時45分に首都ベオグラードでキックオフ。日本時間では25日の午前4時45分からとなり、『DAZN』で配信予定だ。

名古屋グランパスでも長くピクシーと一緒に仕事をしていた喜熨斗勝史氏も、セルビア代表チームのフィジカルコーチとしてもちろんベンチ入りする。私自身はフォトのプレスとしての撮影パスが取得できたので、ピッチレベルで撮影予定だ。

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なんと石川美紀子さんはEURO2024予選のセルビア対リトアニアでピッチの中から撮影することが許されたという。その貴重なレポートや写真も楽しみにしてほしい。また次回の連載もお楽しみに。

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