<レスリング>ソ連出身の世界王者の三男ビタリ・アルジャウ(コーネル大)が「ハンマー賞」を受賞

▲ソ連人の父を持つが、米国人として世界一を目指すビタリ・アルジャウ(コーネル大)=同大学レスリング部ホームページより

 

 米国の専門誌「アマチュア・レスリング・ニューズ」は、全米大学(NCAA)選手権で最も激しい闘いを勝ち抜いた選手に授与する「ハンマー賞」に、今年は133ポンド(60.3kg)級で優勝したビタリ・アルジャウ(コーネル大)を選出した。同選手の父親は、世界選手権のフリースタイル最軽量級で2度優勝しているソ連出身のブガール・オルジェフ。3人の子供の末っ子だという。

 父・オルジェフは、ソ連時代のアゼルバイジャンで生まれ、1989年の欧州ジュニア選手権48kg級優勝を皮切りに世界の舞台で活躍。1991年世界選手権で優勝し、翌92年バルセロナ・オリンピックは3位(所属はEUN)。1995年世界選手権でも勝ち、翌96年アトランタ・オリンピックは4位だった(いずれもロシア国籍)。

 その後、米国でコーチを務め、国籍も変えたもよう。アルジャウ(オルジェフの英語読み)は、米国籍の選手として2016年から国際大会に出場。2021年東京オリンピックの国内最終予選では決勝まで進み、トーマス・ギルマンに敗れて代表はならなかった。

 NCAA選手権では、昨年の3位を経て、今年は決勝で3連覇を目指したペンシルベニア州立大の選手を破って優勝した。23歳(6月で24歳)という年齢から、今後はフリースタイルに専念して来年のパリ・オリンピックの米国代表を目指すものと思われる。

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