「開幕スタメンとレギュラー定着が故郷への恩返し」“ハマの韋駄天”森敬斗 飛躍誓う4年目の春

侍ジャパンの優勝で幕を閉じたWBC。2023年春、日本中が野球で盛り上がりましたが、3月30日、いよいよプロ野球も開幕します。静岡市出身で、プロ4年目の横浜DeNAベイスターズのショート・森敬斗選手が決意を新たにしています。

【写真を見る】「開幕スタメンとレギュラー定着が故郷への恩返し」“ハマの韋駄天”森敬斗 飛躍誓う4年目の春

2019年のドラフトで1位指名を受け、DeNAに入団した森選手は21歳。静岡市の藁科中学校から神奈川の桐蔭学園高校に進み、プロ入りしました。将来、WBCへの出場も嘱望される期待の星です。

プロ4年目を迎えた森敬斗選手=草薙球場

3月8日、静岡市の草薙球場で行われた東北楽天ゴールデンイーグルス対横浜DeNAベイスターズのオープン戦。森選手は途中からショートで出場。プロ入り後、初めてとなった地元での凱旋試合で球場を沸かせました。

<DeNA 森敬斗選手>

「初めてのプロ入り後の草薙球場だったが、地元の人の温かい声援を聞けて、すごくうれしく思っています。(静岡市は)応援してくれる人もたくさんいるので、期待に応えようと思ってグラウンドに立ちました」

8日は2打数1安打。9回表2アウトで迎えた第2打席でライト線にヒットを放つと、50m5秒8の俊足を生かし、ゆうゆうと三塁まで到達。激しいレギュラー争いの中、持ち味の“韋駄天ぶり”も披露しました。

森選手自身、「足を使える選手が足を使わなかったら、チャンスも得点もできないので、常に先の塁を狙うことを意識して走塁しています」と、自分の持ち味に自信を示します。

森選手の豊かな身体能力を培ったのは、生まれ育った地元の環境。森選手が生まれ育ったのは、“オクシズ”と呼ばれる静岡市葵区の中山間地の清沢地区です。人口800人ほどの自然豊かな小さくてのどかな地域です。

森選手は小学生の頃、運動会ではリレーで遅れてバトンを受け取っても、瞬く間に先頭の選手を追い抜くなど、その俊足で、地元では早くから一目置かれる存在でした。

「遊ぶとしたら山とか川だったのは正直なところなんで、足腰が鍛えられた部分は少なからずあるんじゃないかと思います」

自分の能力をはぐくんだふるさとを森選手はこう振り返ります。

小さなまちから生まれた初めてのプロ野球選手。期待を一身に背負った森選手は、2年目の後半から一軍に定着。さらにプロ3年目の2022年は61試合に出場しました。地元の人たちの期待は高まるばかりです。

「本当にね、いい子なのよ。私たちは自分の孫みたいに思ってるもんでね。いまとってもうれしい、プロになって。頑張ってもらいたいと思っています」。地元の特産、こんにゃくなどを販売する「きよさわ里の駅」で働く女性は声を弾ませます。

「毎日見るんですよ、新聞で。活躍が気になって」。もう1人の従業員の女性にとって、森選手は“元気の源”になっています。そして「誇らしいですよね。だから本当にみんなで応援しています」と目を細めました。

地元の人たちからの声援は、森選手にとってもモチベーションになっていて、「小さい地域の中でも、こうやって大舞台で活躍できるんだというところを見せられたらいいと思っていますし、恩返しじゃないですけど、そういう思いはあります」と表情を引き締めます。

地元への想いを胸にさらなる飛躍を目指すプロ4年目の2023年シーズン。森選手は「勝負の1年」と意気込み、高い目標を掲げています。

「本当に今年結果を残さないとどんどん新しい選手が入ってくるので、頑張らないといけない。今年こそは開幕からスタメンで出て、1年間結果を残し続けて、レギュラーをつかみ取ることが、僕自身の目標です」

激しさを増すチーム内の競争を勝ち抜き、ゆくゆくは日本を代表する内野手に。森選手は決意も新たに、4年目のシーズンに挑みます。

© 静岡放送株式会社